今や海外からの観光客で溢れ返るようになった日本で、初めて「外国人観光客向け風俗店」が摘発されたのは、今年2月である。問題の店舗は、東京・歌舞伎町にある「SPARAKU(スパラク)」だった。
表向きにはメンズエステを謳いながら、実際には売春の場を提供していたとされ、警視庁は同店を含む2店舗を経営していた須藤一樹容疑者ら7人を、売春防止法違反の疑いで逮捕した。
主な客層は外国人観光客で、客引きが通行人に声をかけて店内へと誘導するシステムだ。仕組みは「ちょんの間」に似ており、客は入店後、在籍女性の顔写真パネルを見せられ、好みの相手を選ぶという流れだった。
実は今、こうしたインバウンド向け風俗が全国的に増えている。例えば、沖縄のスカウト関係者は次のように語るのだ。
「沖縄ではもともと、米兵を相手にした外国人向け風俗が多く存在していました。古くは宜野湾の青線街、真栄原社交街、沖縄市の吉原社交街などが発祥で、これらは戦後、普天間飛行場で働く米兵向けの遊び場として成立しました。その後、日本人向けの置屋街へと変化しましたが、外国人向けのサービスも継続して提供されていました」
こうした外国人向け置屋は全国各地に存在していたが、平成中期に警察の指導によって、全国的に摘発。しかし近年、メンズエステを謳った違法風俗が増えつつある。沖縄スカウト関係者が続ける。
「こうしたメンズエステは違法性が高いため、日本人はあまり利用しません。しかしインバウンド需要の増加に伴い、外国人観光客向けの風俗として盛んに営業しているのです」
かつては国内各地に存在した外国人向け風俗営業だが、警察の取り締まり強化により衰退。それが近年、訪日外国人の増加を背景に、メンズエステを隠れ蓑にした違法店が再び活発化している。
今回摘発された「SPARAKU」のような事例は今後も増える可能性があり、警察の対応が注目される。
(カワノアユミ)