テリー 俳優デビュー作は2003年公開ですよね。ということは16歳の時?
柄本 実は、撮影は公開の2年前だったので、実質的には14歳の時です。
テリー やっぱりそういう家庭に育ったから、早くから役者になろうと決めてたの?
柄本 きっかけは母ちゃんのマネージャーさんが「この映画のオーディション、佑にピッタリだと思うんだよね」って言ってくれたことです。もともとは映画監督になりたかったんですけどね。小3か小4の時に家族みんなで勝新太郎さんの「座頭市」を観て、「勝新、カッコいいな! じゃあ、こんなにカッコよく勝新を撮る映画監督は、もっとカッコいいんだろうな」と思っちゃったんですよ。
テリー ハハハ、そんな小学生いないよ。
柄本 で、その話をもらった時に「ダメでもともとだし、面接に行けば生で映画監督が見られるよ」って言われたので、そのオーディションの面接に行くことにしたんです。そうしたら監督のイメージとたまたま合ったのか、主演をやらせてもらうことになりました。
テリー トントン拍子だ。その時、柄本明さんの息子だというのは、先方に知られていたの?
柄本 写真選考の時までは知らなかったと思いますけどね。
テリー 役者になることに関して、お父さんから何か話があったりしましたか。
柄本 書類選考に通ったあとに相談しましたが、「本人がいいなら別にいいんじゃないか」って感じでした。
テリー 実際はとてもうれしかったんじゃないかな。でも逆に佑さんは、「柄本明さんの息子さん」って、いろんなところで言われることになりますよね。
柄本 「親父に似てる」と妙に言われ続ける時期が半年くらいあって、その時は「なんか嫌だな」と思っていましたけど、あとは何とも思わないです。親子なんだから、似ててもしかたないだろう、と(笑)。
テリー そうかな? 佑さんにはちゃんと今の時代の匂いがあって、そんなにお父さんに似ている感じもしないけどね。
柄本 あ、そうですか。うちの姉貴は親父にそっくりなんですけど、そう言うと泣くんです(笑)。
テリー アハハ。いや、でも正直な話、今の時代に佑さんみたいな存在って貴重なんだと思いますよ。昭和を感じさせるどこか懐かしい空気感と現代の空気感、それを佑さんは併せ持っている感じがするんですよ。
柄本 へぇ、そんなこと、初めて言われました。ありがとうございます。実は小学生の時、母ちゃんから「あんたは顔が古い!」と言われたことがあったんですよ(笑)。
テリー ハハハ、またストレートだね!
柄本 その時、僕は坊主頭だったんですけど、「顔が古いうえに坊主だと、出征しそうな気がしてきて私は悲しい。せめてピアスぐらい開けて、髪の毛も染めてくれ」と言われたんですよ。だから僕、ピアスに茶髪で中学の入学式に行ったんですよ。
テリー 普通はそれを止めるほうだけど、やっぱりおもしろいお母さんだ(笑)。でも、考えたら「古い顔」って財産だよ。NHKの時代劇なんか観てても、みんな今っぽい風貌だから、なんか違和感あるよね。
柄本 若い人はみんな眉毛剃ってるじゃないですか。僕も思春期に剃りたい時期があったんですけど、母ちゃんから「今、あんたぐらいの年齢の役者はみんな剃っているから、剃らないほうがいい。役者としては、そっちが貴重だから」って。
テリー いいアドバイスじゃない、さすがだよ。