昭和のスターが大挙して出演するドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)が好調だ。82歳の脚本家・倉本聰が自ら持ち込んだ企画で、シニア向けドラマの開拓に成功したと注目を浴びている。そんなヒット作を横目に、悔やんでも悔やみきれないのがフジテレビだという。
「そもそも倉本氏はこの企画を旧知のフジに持っていったにも関わらず、ほとんど検討もされずにあっさりと却下されています。当時はトレンディドラマで名を馳せた亀山千広社長がドラマの旗振り役を務めており、若者向けでない企画には目もくれなかったのでしょう。しかし亀山体制下で月9すら爆死するなどフジのドラマはもはや崩壊状態。07年の『拝啓、父上様』や08年の『風のガーデン』といった倉本ドラマを担当した制作陣は、この現状に頭を抱えているはずです」(テレビ誌ライター)
そのフジテレビでは6月にも亀山氏が社長を退任し、後任の社長には現・BSフジの宮内正喜社長が就任する予定。世間では60歳から73歳へのバトンタッチが話題になっているが、この交代劇にはドラマ制作陣から歓迎の声があがっているようだ。
「亀山体制では『他局でヒットした企画をウチでも』という空気が支配的で、自分たちで新しい時代を切り開こうなんて気概はなかった。それが宮内新体制に変わることで、ドラマ部門でも新たな空気を感じているようです。倉本氏の『やすらぎの郷』に関しても、シニア世代の宮内氏がトップだったら門前払いしなかったとの声もあり、今後は亀山体制で無視されていたシニア向けドラマにも打って出る可能性が高そうです」(前出・テレビ誌ライター)
果たしてフジテレビは生まれ変われるのか。新社長の手腕とドラマの再生に注目が集まるところだ。
(浦山信一)