かつて、「海砂利水魚」が「くりぃむしちゅー」に、「バカルディ」が「さまぁ~ず」に改名して、一気に売れた。浮き沈みが激しい芸能界に身を置くタレントは、誰もが一度は改名を考えるが、この2組は完全にプラスに働いた。しかし、好転せずにしびれを切らして、元に戻した芸人もいる。演芸に造詣が深いフリーライターに話を聞いた。
「意外ですが、今なお引っ張りダコの有吉弘行も、改名芸人なんですよ。1996年、森脇和成と結成した猿岩石が、『進め!電波少年』(日本テレビ系)で大ブレイク。時代の寵児となり、最高月収2000万円になりましたが、ブームの終焉と同時に、人気も仕事も下降線。海砂利、バカルディが改名して浮上したことに便乗して、猿岩石は“手裏剣トリオ”に名を変えました。『内村プロデュース』(テレビ朝日系)にはこの名で出演していましたが、泣かず飛ばず。1年もせず、猿岩石に戻しました」
だが、時すでに遅し。再びスポットライトを浴びることはなく2004年に解散した。これはマイナスに動いたパターンだ。では、この中間。現状維持という微妙なラインをキープしたコンビといえばライセンスだ。先のフリーライターは続ける。
「『よしもと男前ランキング』の殿堂入りを果たしている藤原一裕さんと、ダウンタウン・浜田雅功さんがもっとも信頼している後輩の井本貴史さん。彼らは2007年、番組の罰ゲームで、“ザ・ちゃらんぽらん”に変えさせられました。事務所の先輩に“ちゃらんぽらん”というコンビがいたため、“ザ・”をつけたんですが、これが大コケ(笑)。猿岩石と同じく、1年を待たずして戻しました。結果、良くも悪くもなりませんでした」
テレビ出演が多くないため、知名度は高くないライセンス。だが、依然として劇場人気は高く、そろって1児のパパ。人としての幸せは、ふ~んわり手にしたようだ。
(北村ともこ)