もう一つ忘れてならないのは、年齢だ。父サンデーサイレンスが死んだ年に生まれたディープも今年で15歳。来年には父が死んだ年齢になる。種牡馬としては、後期に入ったと言えるだろう。
もちろん、社台もそれを承知しており、負担のかかる種付けをセーブし始めた(16年度は前年よりも18頭減って243頭)。ディープブリランテやキズナといった後継種牡馬が稼働し始めたことも、何らかの変化をもたらすだろう。今のところバトンタッチとまではいかないが、サイアーライン(父方の系図)を延ばしていくためにも、息子たちには頑張ってほしいはずだ。
幸い、ディープブリランテは初年度産駒からセダブリランテスという重賞勝ち馬を出している。こう見てくると、今後、ディープの種牡馬成績が飛躍的に伸びることは考えづらいと思われる。いや、もしかすると種牡馬としてのピークは過ぎてしまったのか? 今年の3歳馬を見ていると、そんな気がしないでもない。
「とはいえ、その力はまだまだすごいものがある。7月に入るや、その仔たちが大活躍。シャイニングレイがCBC賞を、ゼーヴィントが七夕賞を制覇しました。さらに川崎の交流重賞・スパーキングレディーCでもアンジュデジールが勝利。上半期のスランプ状態から脱し、エンジンがかかってきたようにも思えますね」(競馬ライター)
そして興味深いのは、まだGI勝ちのないスプリンター、ダート部門に有力馬が登場してきたことだ。これは関係者にとって、喜ばしいことに違いない。
あらゆる記録を塗り変えてきたディープにとって、残されたことといえば、産駒による全部門「GI完全制覇」だろう。それを達成してこそ、真のスーパーサイアーと言える。だから今後は、あまり走っていないダートへの参戦も増えてくることが考えられそうだ。その際は「ディープ産駒はダートはからっきしダメ」という定説に惑わされることなく、じっくりと出走馬をチェックしたい。
また、今後はブルードメアサイアー(母父)としてのディープインパクトにも要注目だ。
14年から母父にディープを持つ仔が出てきて、その中にはヴァナヘイム(京都2歳S・2着)やキセキ(毎日杯・3着)のような重賞上位入着馬もいる。ブルードメアサイアーのランキング(地方を含む)も968位⇒488位⇒130位⇒56位とグングン上昇中。近い将来、父サンデーサイレンス同様にディープインパクトがブルードメアサイアーの王者になることは、間違いないだろう。