一口馬主も今年はディープインパクト以外の馬に強く目を向けているようで、
「これまではクラシックを夢みてディープ産駒に投資してきましたが、最も走った馬でも重賞入着まで。これでは元が取れません。よく見ると、未勝利や下級条件であえいでいる馬もゴロゴロいますし、割高感が否めない。今年は昨秋大ブレイクしたハービンジャーの仔にするつもりです」(一口馬主歴15年の競馬ファン)
気がかりなことはまだある。ディープブリランテ、トーセンホマレボシといった後継種牡馬の成績がイマイチなのだ。それぞれ種牡馬リーディングは30位、54位と、パッとしない(5月18日現在)。今年もトーセンラー、ダノンバラードが後継種牡馬として仔をデビューさせるが、不安はつきまとう。
ちなみに「ライバル」キングカメハメハの後継種牡馬はというと、ルーラーシップ8位、ロードカナロア10位と好調。そのうえ、2頭ともすでにGI馬を輩出している。キングカメハメハには繁殖牝馬のいいところを存分に発揮させるよさがあると言われるが、後継種牡馬たちも、それを受け継いでいるようだ。
国内では不振が目立ってきたディープインパクト産駒だが、意外にも英国やオーストラリアでは活躍馬を出して注目を集めている。
例えば、英国クラシック第1冠目の2000ギニー(ニューマーケット、芝1600メートル。日本の皐月賞にあたる)で、ノーザンファーム生産のサクソンウォリアー(牡3、愛・オブライエン厩舎)が優勝した。これは日本産馬としては史上初の快挙と言っていい。
「母は欧州2歳牝馬チャンピオンのメイビー(母父は欧州の至宝ガリレオ)で、いわば日本と欧州サラブレッドの夢の組み合わせで勝ち取ったもの。欧州はサドラーズウェルズ系が飽和状態なため、ヘイロー系ディープインパクトの血はさらに需要が増えていくかもしれない」(競馬ライター)
オーストラリアでは、16年に移籍したトーセンスターダム(14年のダービー最下位馬)がすでにGIを2勝。今や現地の中距離戦線では指折りの存在となっている。産駒の適応性の高さが見込まれ、アンビシャス、サトノラーゼンもオーストラリアに移籍。後者は5月5日のGII(芝1800メートル)に出走し、4着とまずまずのスタートを切った。競馬ライターが言う。
「オーストラリアは短距離部門を除けば日本に比べてレベルが低いので、今後も活躍が望めそう。セリでも注目を集め、2頭のディープ産駒が8000万円以上の高値で買われています」
オーストラリア競馬界は今、ディープブームで湧き上がっている。これからは日本からの移籍馬がもっと増えていくことだろう。