12年に初めて種牡馬リーディングのトップに立ち、以来、その地位を守り続けているディープインパクト。今年も独走状態は変わらないのだが、ここにきてディープ産駒の“最強神話”に陰りが見え始めている。特にGI戦での成績が振るわず、獲得賞金では昨年の同時期より9億円も下回る事態に──。
7月10日、11日に開催された日本最大規模のサラブレッド市場「セレクトセール2017」では、17頭のディープインパクト産駒が1億円以上で落札され、あらためて同馬への期待の大きさに驚きの声が上がった。
しかし、現在の産駒成績を見ていると、「この馬なら将来、大活躍してくれるだろう」などと楽観視することはできない。アルアインが皐月賞を獲ったものの、春のクラシックをにぎわしたのは、他にアドミラブル、カデナがいるぐらい。3歳牝馬にいたっては、重賞勝ち馬がファンディーナの1頭だけだ。
ディープの初年度産駒が出走した2010年の翌年以降は、毎年牝馬のクラシックホースを輩出してきたが、今年は桜花賞、オークスともに掲示板にすら載れなかった。そんなこともあってか、現在、各クラブで募集されているディープ牝馬の募集価格は、総じて1割ほど安めとなっている。
某クラブの古参会員が複雑な表情で話す。
「安くなるのはありがたいことですが、裏を返せば、それだけディープ牝馬の価値が低下しているということです。そのことは先だっての牧場見学でも感じましたね。今年はオークスでの6頭出しや、ヴィンテージ世代のお披露目ということもあって、ハーツクライ産駒への注目度がディープ以上に高かった。僕も、その中の1頭を1口買うつもりでいます」
今年の上半期(6月25日終了時点)を振り返れば、古馬勢も期待ハズレで終わった。GIを勝ったのは安田記念のサトノアラジンだけで、ディーマジェスティ、マカヒキ、サトノダイヤモンド、ミッキークイーンといったクラシックホースは、勝ち負けにすら加われなかったのだ。
さらに言えば、上半期の重賞勝ち数は8勝と、昨年同時期の20勝から大きく減少している。そのため、種牡馬リーディング1位の座はかろうじて守りつつも、獲得賞金は30億円に届かず、前年の上半期と比べて約9億円の減少だ。これは、6歳以上の世代が不在だった13年以来のことである。