スポーツ

明徳義塾が残した「7‐6の打撃戦で勝利した試合が“残塁ゼロ”」珍現象

 今大会8日目の第2試合で前橋育英(群馬)の前に1‐3で惜敗し、2回戦で甲子園を去った明徳義塾(高知)だが、かつてはこんな珍記録を作って負けたことがある。それは“毎回1安打ずつ計9安打を放ちながらの敗戦”というものだ。

 これは明徳義塾が夏の甲子園に初出場を果たした84年第66回大会でのことだった。3回戦で新潟南と対戦したのだが、ランナーを出しながらも決定打が出ず2‐4で敗戦。雪国のチームが野球強豪県の代表校に勝った試合として、当時は大金星扱いされた。

 その明徳義塾は勝った試合でもこんな珍記録を作っている。“7‐6という打撃戦で残塁ゼロ”。残塁ゼロの例は完全試合がいちばんわかりやすいが、多くの場合、打線が相手投手に押さえ込まれて負けたケースだろう。だが、明徳義塾の場合は9安打7得点。打ち勝った試合での残塁ゼロという極めて珍しいケースだった。

 その試合は02年第84回大会の3回戦、常総学院(茨城)との一戦だ。試合は4‐4で迎えた8回表に2点を勝ち越され、4‐6と明徳義塾が追う展開となっていた。その裏の攻撃で下位打線が凡退して簡単に2アウトとなったものの、一番打者が相手のエラーで一塁に生き、続く二番打者がライトポール際へ同点ホームラン。さらに三番の森岡良介(元・中日など)が右翼席中段へ勝ち越しのソロを放って7‐6で勝利した。この回の攻撃はまさに残塁ゼロの鮮やかな逆転劇だった。

 この試合、1点を追う2回裏に3点を取って1度は逆転したのだが、その際に2点タイムリーツーベースを放った打者走者が三塁を狙って走塁死。同じ回に2死からヒットで出た走者も盗塁死してしまった。3回裏には1本のヒットに足を絡ませて内野ゴロ2本でランナーが生還して残塁ゼロで1点を追加している。さらに無得点には終わったが、6回にも2アウトからヒットで出た走者が盗塁死してしまった。これらが残塁ゼロを生んだ一つの要因だったと言えよう。

(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
暴投王・藤浪晋太郎「もうメジャーも日本も難しい」窮地で「バウアーのようにメキシコへ行け」
3
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
4
侍ジャパン「プレミア12」で際立った広島・坂倉将吾とロッテ・佐藤都志也「決定的な捕手力の差」
5
怒り爆発の高木豊「愚の骨頂!クライマックスなんかもうやめろ!」高田繁に猛反論