広瀬のように顔まで似ているケースは珍しいが、スタンドインのサポートを受ける人気タレントは他にもいる。ベテラン芸能記者がこう説明する。
「CMの制作会社が探してくることが多いのですが、上戸彩(31)のように大手事務所の場合は、事務所の後輩を用意してくれます。中山美穂(47)は直接、専属を指名していました。その“代役”は、ふだんからテレビを見て中山のしぐさやほほえむ表情を勉強していて、どことなく雰囲気も似ていましたね」
映画やドラマの俳優業に加えて、ナレーションでも引っ張りだこの俳優・遠藤憲一(56)にも専属のスタンドインがいるという。
「基本的にどんな仕事も断らないため、“代役”を用意するようになったそうです。あるCMの撮影現場では、遠藤の相手役を務めたド新人の女優がリハーサルでNGを連発。深夜にまで及んでしまい、スタンドインの男性がヘトヘトになりながら務めていました」(広告代理店関係者)
翌日にようやく迎えた本番で“本物”が登場。一緒に来ていた代役から、
「昨日は参りましたよ~」
と、その場で愚痴を聞かされると、遠藤は懸命になだめていたという。
元AKB48の大島優子(28)も、なじみの“影武者”との間でこんな場面を目撃されている。
「代役の女性が、大島の楽屋に挨拶に行ったところ、『あ~○○ちゃん、いつもありがとうございます』と、深々とお辞儀をして感謝され、すごくビックリしていた。ドラマのエンドロールにも名前が出たことがないような存在なのに、ちゃんと名前まで覚えてもらっていたことに感激したそうです」(ワイドショー芸能デスク)
超過密スケジュールのために、苦肉の策でスタンドインが起用されたのは、昭和のスター・山口百恵(58)がそのハシリだったという。映画やグラビアの撮影に忙殺されていた70年代、ヒロインを務めた「赤いシリーズ」(大映ドラマ)では大物俳優との共演シーンに参加できず、
「画面の手前に背中を向けた百恵がいて、その奥から宇津井健がセリフをしゃべる場面でした。本番では百恵の肩のラインや髪型がそっくりな代役でまず撮影を行って、別の日に百恵で同じシーンを撮ったんです。バラバラに撮影しても照明や小道具の位置はまったくズレがない。編集作業のレベルの高さに、視聴者は気づかなかったはず。それでも共演者の中には百恵のスケジュールに振り回され、別人と撮影する手法に不満を示して降板した女優もいましたね」(前出・ベテラン芸能記者)
“影武者”の存在は、一流芸能人の「証し」にもなっているようだ。