「僕も子役さんを扱っていますけど、たたかない、たたく必要がない。今のご時世たたいちゃダメ。熱い人だって言うのは感じるけど、熱いのと手を上げるのは別」と、坂上忍が同じ芸能人の立場から諫めれば、若手社会学者の古市憲寿氏も、「暴行までいくのはよくない。動画でどこでも撮影されている時代、みんなが見ている前で暴行をしてしまうのは…。20年前なら許されることでもダメだと思う」と、現代社会への分析を交え見解をコメントした。
ともにフジテレビ系列で8月31日に放送された「バイキング」と「とくダネ!」で流れたジャズトランペット奏者・日野皓正氏への批判である。
8月31日発売の「週刊文春」が報じた8月20日、東京・世田谷区で開かれたコンサート中に、壇上でドラムを演奏していた男子中学生の顔に日野氏が「往復ビンタ」をしていた騒動は、その衝撃的な映像がネットでも報じられたこと、コンサートを主催したのが、同区教育委員会が主催する中学生向けの体験学習イベントだったことでワイドショーもこぞって取り上げた。ビンタされた中学生は、日野氏の指導を受けて約4か月間練習をした生徒約40人のうちの1人。その成果を披露する場で不規則なドラム演奏をしたことに日野氏が腹を立て、ビンタしたようなのだが、「被害」中学生の親、本人とも非を認めていることもあり、さまざまに議論を呼んだ。しかし、
「フジの番組でのタレントらのコメントを聞いていると隔世の感がありますね」
と述懐するのは、あるベテラン芸能記者。どういうことか。続けてもらおう。
「古市氏がいみじくも『20年前なら許される』、と話していましたが、あれは22年前の1995年にフジのバラエティ特番を巡って起きた騒動でした。『木曜ファミリーランド──平成カマキリ夫人』と銘打った番組のワンコーナーとして、既婚女性の『平手ラリー』というとんでもない企画が実現し、収録されたんです。一般から募った主婦20人が1対1で10組に分かれ、平手打ち、つまり、ビンタをし合う。1人に勝てば賞金50万円。涙を流したり、ギブアップしたほうが負けというものでした。当時の参加者によれば、当初は引き分けがあったのに、収録間際にスタッフがもっと面白くしたいと、そのルールをなくしたというんですからね。スタジオには賞金目当ての主婦がビンタし合う音が20分ほども続く一幕もあり、とても笑える雰囲気じゃなかったそうです。結局、参加者中19人が収録後、病院で診察を受けていたんです」
当然、この放送は見送られた。が、収録まではしていたのだから、ビンタについての考え方もずいぶん今とは違っていたようだ。ちなみにこの番組、司会は当時、まだ「バカルディー」名で活動していたさまぁ~ずの2人だった。今回の日野氏の騒動についてのコメントを聞いてみたいものだ。