9月23日に吉高由里子主演の「ユリゴコロ」、10月28日には蒼井優主演の「彼女がその名を知らない鳥たち」と、いずれも沼田まほかる原作によるミステリー映画が公開される。2作品に共通しているのは原作者だけでなく、主演女優が大胆な艶シーンを披露していることだ。吉高は体を売りながら平気で殺人を犯していく美紗子を、蒼井は過去の恋人を引きずったまま好きでもない男と同居し、過去の恋人と面影が重なる妻子持ちの男性との情事におぼれていく十和子を演じており、彼女たちの体当たり演技は映画の見どころの一つでもある。
「最近は人気女優の多くがCMに出演し、そのイメージを大事にするあまり艶シーンを避ける傾向があります。70~80年代は“次に脱ぐ女優は誰か”という見出しが週刊誌を賑わせ、松坂慶子や小柳ルミ子などが既成の枠を打ち破って花開きましたが、これは男性目線で映画が作られていた時代の話です。現在の日本映画は女性の支持がないとヒットしないと言われ、当然、演技の内容も女性目線が重要視されます。艶っぽさを売りにした映画が減少してきた要因と言えるでしょう」(映画ライター)
では、ここに来て吉高や蒼井がこういう役に挑戦するのはなぜだろう。
「吉高は29歳、蒼井は32歳のアラサー世代。女優としては、若さや見た目の美しさとは違った人間力や演技力が試される年代に入ったと言えます。一方で、同年代には清楚なイメージを一直線に突き進んで絶大な人気を誇る新垣結衣がいて、他にも北川景子、満島ひかり、沢尻エリカなどの個性派・実力派がひしめいています。彼女たちとは違った表現者であろうとする意思表示ではないでしょうか」(前出・映画ライター)
多様な魅力を持つ彼女たちの挑戦が好結果につながることを期待したい。