かつて進次郎は、内閣委員会で「ふくしま産業立地補助金」問題を追及したことがあった。
地元記者によれば、
「被災地である福島県に設備投資しようとする企業に対し費用を補助する制度で、当初は費用の3分の2〜4分の3を補助する予定だった。しかし昨年5月、経産省が予算不足を理由に一部企業の申請を保留、受理された企業についても補助額をカット。これに対し、猛然と異を唱えたのが、小泉氏でした」
近隣県とのバランスを口実に予算の上積みをしようとしない経産省に対し、
「申請企業のほとんどが県外ではなく福島に本社を置く企業。バランスにこだわるべきではない」
と迫る一幕もあった。
また震災直後、各地からの義援金が人手不足で被災民に届かないという問題が起きた時には、
「中央省庁の職員を派遣して義援金業務に当たらせるべき」
と総務大臣に詰め寄り、地方の声を代弁した。
自民党関係者が続ける。
「安倍自民にとって、進次郎に最も期待されるのは、夏の参院選における“集票マシン”としての役割。有権者に人気の高い進次郎が地方を奔走し、これまで不満のたまっている地方の有権者の声を国政に反映させることで、地方票の取りまとめをすることができるようになる。地方1人区で勝敗の鍵を握るのが、青年局と局長の進次郎なのです」
実際、新年早々の自民党厚労部会では、70〜74歳の医療費窓口負担を1割に据え置いている特例措置について「2割という本来の水準に戻すべき」と発言。参院選への影響を懸念する議員との対立も辞さず、現役世代に負担を強いる現制度継続への反対を唱え、若手議員から拍手を受けた。
並の一兵卒の若手議員がこのような行動に出れば、先輩議員からのひんしゅくを買うのは必至。しかし、そこは「自民党の若きプリンス」。参院選までは選挙の顔として活発に動いてもらいたいともくろむ党側も黙認しているようだ。
前出・鈴木氏が解説する。
「進次郎は青年局長として地方の県連や各種団体をくまなく回った。そこで若い人たちの声を聞き、信頼関係を築いた。その自信があるから思い切った主張もできるし、硬直した行政機構や古い自民党の枠組みを飛び越えた政策を訴えることもできる」
かつての父・純一郎のように国民人気を背景にした「進次郎グループ」は自民党の救世主となりうるのだろうか。
「(進次郎が)永田町で若手を囲い込んでいると見られた瞬間、周囲に潰されることは本人も十分わかっているから、そんな意図はさらさらないでしょう。もちろん法案を通す際には仲間が必要。彼の場合、すでにその仲間を地方の若手に作っている。いわば“地方派”を結成しているんです」(前出・鈴木氏)
集票マシンを自覚しつつも、将来の「地方蜂起」を目指して爪を研ぐ進次郎。試金石となる「竹島の日」の発言にも注目が集まる。