昨季はシーズン最終戦に登板し、わずか1回で5失点KO。今年は“顔見せ登板”すらなかった松坂大輔(37)の年俸は、球界第5位の4億円なのだからファンが怒るのも無理はない。内藤氏も、
「ソフトバンクは、0勝2敗の攝津正(35)、8試合登板で4勝の和田毅(36)にも4億円出している。出来高制にすればいいのに、と本気で思います。元選手の立場から言えば、球団がくれるって言うんだったら、そりゃもらうでしょ」
と苦笑いする。さらにシビアに分析したうえで、松坂の今後を占う。
「今年の3月25日のオープン戦、松坂は7回無安打の好投を見せてニュースになりました。私もこの試合を観戦しましたが、『いいけど、でもこれ以上の球を投げる若手はゴロゴロいるよね』と感じました。ましてや、ソフトバンクは12球団随一の選手層を誇る球団です。どんな監督でも、若手の起用を選択するでしょう」
それでも、“平成の怪物”と言われた大投手。彼が立つべきは「ワーストナイン球場」のマウンドではないはずだ。
オリックスの平野佳寿(33)は、チームの守護神ながら今季7敗を喫し、球界一の「炎上ストッパー」に認定した。
「キレ、質はさすがに『3億の球』と呼ぶにふさわしいものがありますが、いかんせん今季は、えいやっと投げてそのまま高めにいくことが多く、それがことごとく打たれていました。平均が140キロ台前半と、抑えにしては球速が遅いので、もっと低めの意識を強めてもらいたい」(前出・内藤氏)
西武の炭谷銀仁朗(30)、楽天の嶋基宏(32)ら“1億円捕手”を押しのけて選出されたのは、日本ハムの大野奨太(30)=年俸5500万円=だ。
低空飛行の打撃成績もさることながら、特筆すべきは9.8%という盗塁阻止率の低さである。両リーグ通じて次に低いソフトバンクの高谷裕亮(35)が19.4%なので、まさにダントツの「走られ屋」だった。
昨季日本一、今季5位の日本ハムからは、低迷の象徴として主砲・中田翔(28)もワーストナインに初選出された。
「今季の中田は速い球に振り遅れ、緩い球には体が泳いでいた。タイミングを取るための体のメカニズムが狂っている印象を受けました」(広澤氏)
中田はセ・リーグの小林同様、規定打席到達者中最低の打率2割1分6厘。得点圏打率になると1割9分5厘と“勝負弱さ”も際立ち、さらに得点圏に走者を置いた打席での併殺打本数は12球団トップの10本を数えた。4番打者がことごとくチャンスを破壊しては勝てるはずがない。
ところが上には上がいるもので、メジャー帰りの川嵜宗則(36)の得点圏打率はまさかの1割未満(0割6分9厘)で球団内外から大批判にさらされた。
その川崎と「ワーストナイン球場」で二遊間のタッグを組んだ楽天のクルーズ(33)に、前出の広澤氏は厳しい評価を下す。
「シーズン中に巨人から移籍したけど、なんで獲ったか不思議でしょうがない。巨人時代から、外角の球への対応が不安視されて、まったく修正できずにいたのに‥‥これは獲ったフロントの人間がワーストだね。2億4000万円‥‥はぁ~っ、もったいないですわ」
外野の両翼には、同僚の松坂同様、働かない高給取りのソフトバンク・長谷川勇也(32)に続いて、FA残留の“生涯ライオンズ宣言”で男気を見せたが、結果がついてこなかった栗山巧(34)が就く。そして残るセンターには、最下位ロッテから守備職人の岡田幸文(33)がさっそうと登場したが‥‥。
「開幕こそスタメンでしたが、あまりにも打てず控えに回り、40打席ノーヒットのままシーズンを終えました。余談ですが、2528打席本塁打ナシという日本記録にもあと45と迫っています」(スポーツ紙記者)
指名打者には、同じくロッテからパラデス(28)を選出。6年間の米メジャー生活で5球団に籍を置いた球界渡り鳥は日本では鳴かず飛ばず。
今回選出された21人のワーストナイン。チームの浮沈の鍵を握るだけに、来年の奮起を期待したい。