「7球団競合」でドラフトの話題を独占した早実・清宮。6球団から指名された、かつてのスーパースター・清原和博をしのぐ各球団の熱烈歓待ぶりだったが、高校通算本塁打111本を記録した怪物には、未知の「プロの洗礼」が待ち受けている!
「最大10球団指名」などスポーツ紙上では、過剰な人気集中が予想された今年のドラフト。蓋を開けてみれば、早稲田実業・清宮幸太郎(18)がロッテ、ヤクルト、日本ハム、巨人、楽天、阪神、ソフトバンクと、実に7球団からの1位指名を独り占めした。そして、入団交渉権の当たりクジを強運で引き当てたのは、07年の中田翔(28)、10年の斎藤佑樹(29)、11年の菅野智之(28)=入団拒否=などに続き、またしても日本ハムであった。
ドラフトに先駆け、10月2日に、その日本ハムと、「ウチのスタイルに合わない」と、清宮を指名リストから外した広島を除く10球団が国分寺市の早実を訪れ、事前面談が実施された。指名までの舞台裏についてスポーツ紙デスクが明かす。
「この面談で清宮サイドから“選別”されて指名を回避した球団もあったようです。オリックスはハナから他球団を攪乱するためのドラフト戦略として動いていたにすぎません。球団施設の老朽化を父・克幸氏(50)にバッサリ斬り込まれた西武も同様で、一塁に5億円助っ人のメヒア(31)、山川穂高(25)がかぶっていることもあり、水面下では左腕投手の獲得を進めていた。また、オーナー主導で獲得に成功すれば観客動員につながると見込んでいた中日も、高卒野手育成の実績に乏しいことが清宮家の印象を悪くしていたようで、名より実を取り、現場の補強ポイントであった投手、捕手の獲得に切り替えています」
このほか、清宮自身が筒香嘉智(25)の育成について質問攻めにしたDeNAも、最終的に高倍率の競合を避け、大学生左腕の一本釣りにシフトし、まんまと成功している。
結局、4球団が指名から撤退する中、独自路線で虎視眈々と“清宮獲り”を進めていたのが日本ハムだった。スポーツライターが打ち明ける。
「事前面談には『スケジュールの都合のため』と清宮詣でに参加しなかったが、栗山英樹監督(56)はキャスター時代から、低迷していた早大ラグビー部を建て直した克幸氏の監督としての手腕に心酔し、親交も持ちました。自身の日本ハム監督就任後も、克幸氏を理想の監督モデルとしているほどです。面談に赴かなくても、2人が直接ホットラインで連絡を取っていたのは間違いありません」(前出・スポーツ紙デスク)
実際のくじ引きこそ木田優夫GM補佐(49)に譲ったものの、2人の良好な関係から円滑な交渉が見込まれるという。
「清宮はメジャー行きを公言しているだけに、ポスティングに否定的なソフトバンクと巨人に引き当てられなかったことで安堵していることでしょう。その点、過去にはダルビッシュ有(31)を送り出し、今オフには大谷翔平(23)もあとに続くと言われ、ポスティングでのメジャー挑戦に実績のある日本ハムの指名は満願かなった形になりました。事前面談の席では克幸氏を中心に質疑が行われたため、一部で清宮家は『パパ主導』と揶揄されました。克幸氏は『どこの親も同じ。高校生だけじゃ、話を聞くだけで精いっぱいでしょう』と不本意だったようですが、清宮本人は在京志向が強かったと言われています。それでも、小学生の頃からプロアスリートやトレーナーに触れる英才教育を施してきた、熱心な父の教えを理解している栗山監督の下での指導を、歓迎しないわけがないでしょう」(前出・スポーツ紙デスク)
指名後の会見で清宮は、「自分が成長できる環境に入ることができた。いい監督に巡り合うことができた」と、さっそく喜びのコメント。北の大地を踏む日は近そうだ。