描くビジョンが壮大なだけに不安は尽きない。
「清宮の自宅は都内の一等地にあり、バッティング練習ができる地下練習場も備えています。過保護とも言える環境から一転、初めて親離れをすることになる。この点だけは、高校時代から寮生活を経験している大谷のようにはいかないでしょう。また、早実は練習試合をやたら多くこなすわりに、練習量が少ないことで知られている。通算本塁打記録を伸ばすにはプラスだったでしょうが、ぬるい練習に慣れた清宮の体がプロのスパルタ指導についていけるか心配です」(スポーツライター)
自力で乗り越えてこそ一流に近づいていくのだろうが、エリート育ちの清宮は、はたして克服できるのか。
一方、清宮が日本ハムに入団した経済効果は「62億円」と経済専門家は試算しているが、
「中田に加え、大谷という2枚看板を失う見込みの日本ハムですが、清宮が入団すれば、その損失を補って余りあることになりそう。来年1月に清宮が入寮することになる2軍施設のある鎌ケ谷市長は『鎌ケ谷がまた盛り上がる』と、清宮入団に歓喜しています」(スポーツ紙デスク)
その鎌ケ谷では早実の先輩・斎藤佑樹も待ちわびている。先の球団関係者が不安の胸のうちを明かす。
「斎藤はシーズンの3分の2を鎌ケ谷で過ごす“鎌ケ谷の主”だけに、『鎌ケ谷に来た時は案内は任せろ』とイキまいています。もっとも、プロ入りから7年で15勝しかあげていない投手に清宮が頼ることはないでしょうが、斎藤にはバックがついている。デビュー当時、ハンカチ王子を応援するため鎌ケ谷球場に集うご婦人方、有閑マダムならぬ“佑ちゃんマダム”が話題となりましたが、実は今でも健在なんですよ」
なんでも彼女たちは、斎藤に関する悪意のある記事が出れば、鎌ケ谷を訪れた記者に事実確認をし、納得がいかなければクレームを入れるほど、変わらぬ愛情を注いでいるというのだ。
「斎藤の母親と交流があるほどの親衛隊です。ファイターズの主役を清宮に奪われたと勘違いして、標的を清宮にすれば、世間ずれしてない清宮は大ダメージを受けかねません」(球団関係者)
新たなスターに嫉妬する佑ちゃんマダムが大挙押し寄せ、汚れを知らぬルーキーが苦しむ姿は見たくないが‥‥。
そうした懸念材料など取り越し苦労に終わればいいが、いずれにせよ、最終的にはバットで結果を出していかなければならない。
「プロ1軍の試合では弱点を徹底的に攻められます。昨年、日大三高の櫻井周斗(DeNAが交渉権獲得)に外角低めのスライダーで5三振を喫しましたが、当面は内角球で上体を起こされ、外角のストライクからボールになる球で勝負されるでしょう。そんな弱点に問題意識を持って練習に取り組めるかどうか。中田や大谷は乗り越えてきましたが」(前出・球団関係者)
さて、球界のご意見番・広岡達朗氏は清宮ブームに釘を刺す。
「高校時代のホームラン記録? そんなものはまったくアテにならない。高校時代に何本打ってもプロでは全然成功しませんよ。清宮の弱点はズバリ、走力のなさ。足が遅い選手はプロではお荷物になるだけ。せめてDHのあるパ・リーグが引いたのはラッキーだったが、本来なら早大に進学して、走りを鍛え直してからプロ入りするのが彼のためだったと思っています」
「メジャー入り」の志高い目標が逆に命取りとならなければいいが、清宮の挑戦はまだこれからである。