2歳女王決定戦である阪神ジュベナイルフィリーズが今週のメイン。昨年のソウルスターリングのような絶対視できる馬は見当たらない。といっても有力候補は多く、各馬のレベルは高そうだ。
ルメール騎手とコンビを組むロックディスタウンがいちおう、最右翼と見られるが、ラッキーライラック、マウレア、ベルーガ、さらにはコーディエライト、リリーノーブルといったところが人気どころ。力量に大きな開きがあるとは思えず、また伏兵陣も多彩。激しい競馬になること請け合いだが、馬券的にもかなりおもしろそうだ。
馬単導入後のこれまでの15年間、その馬単で万馬券になったのは4回(馬連3回)。1番人気馬は5勝(2着3回)、2番人気馬は1勝(2着2回)。そう大きく荒れることが少ない反面、1、2番人気馬のワンツーで決まったのは、昨年の1回のみ。まずは中穴傾向のGI戦と見ていいか。
混戦が予想される以上、前述の人気、有力どころを主力と見るわけにはいかない。最も期待を寄せたいのは、モルトアレグロだ。
当初は短距離馬と見られ、そのとおりデビュー戦はダート1000メートル(1着)。2戦目も芝の1200メートル(2着)で、こちらとしても短い距離向きの馬という判断をしていた。
が、前走のレースを見てその印象は間違いでは、と思い直すことにした。泥田のような極悪馬場の中、身上の切れ味は殺されると軽く見ていたが、2着馬をゴール寸前でとらえ、力でねじ伏せるがごときの勝利。この勝負根性には正直、驚かされた。
直線の長い東京でこの芸当だ。瞬発力だけが持ち味ではないことを見せつけたわけで、この優れたレースセンスをもってすれば、1ハロン距離が延びても問題ないはずである。陣営もそう判断して挑戦させたのだろう。武井調教師もこう期待感を口にする。
「初めは引っ掛かる面があったが、控える競馬を覚えさすと、すぐにも飲み込んだ。賢い馬で、これならマイルも大丈夫。落ち着きも出てきており、このへんにも成長がうかがえる」
1週前の追い切りはテンにゆっくりと、しまい重点に追われたが、鋭い伸びで前を行くパートナーと併入して見せた。「来週も軽めで十分」と武井師は納得の表情だった。前走時470キロと牝馬にしては馬格があり、関西までの長距離輸送もクリアしてくれるはずだ。
父は短距離馬だが、同僚のリエノテソーロは同じスペイツタウン産駒ながらマイル戦を最も得意としている(全日本2歳優駿勝ち、NHKマイルC2着)。半兄ポインツオフザベンチは、ビングクロスビーSなど6ハロンのGI2勝のスプリンターで、近親、一族に活躍馬が多い優秀な母系の出。ダート、芝の道悪でも問題なかったが、良馬場ならさらに力を出せるタイプ。距離が不安視され、評価が下がるようなら、穴党としては好都合。期待大だ。
相手の筆頭にあげたいのは、人気の一角ベルーガだ。前走のファンタジーSは、強烈な末脚で一気の差し切り勝ち。これで新馬-重賞と2連勝だが、この中間もいたって順調。近親に女傑ヒシアマゾン、アドマイヤムーン(ジャパンC)など、活躍馬が多数いる良血。好走必至だ。
500万条件馬12頭のうち、抽選で8頭が出走できる。この中にもチャンスがあっていい力を秘めた馬が何頭かいる。中でも注目したいのがトーセンブレスとナディアだ。
ともに強烈な末脚が武器で、母系も優秀。この両馬が出走できるようなら一票投じる価値は十分。特に後者で、小兵だが勝負根性は抜群。魅力たっぷりの穴馬と言っておこう。