今週から東京、京都に舞台は移る。GI戦線は目前だが、開幕週のメインは東西ともに天皇賞・秋の前哨戦。優勝馬には優先出走権が与えられる。
東京のそれは毎日王冠。なかなかの顔ぶれだ。GI勝ち馬が3頭。NHKマイルCを制したアエロリット(17年)、ケイアイノーテック(18年)、そして菊花賞馬のキセキだ。いずれも生きがよく、これからの活躍が見込まれている。
むろん、この3頭だけではない。サウンズオブアース、ステファノスの古豪も元気だし、サトノアーサー、サンマルティンも虎視眈々。3歳馬は前記したケイアイノーテック以外に2頭。カツジ、ステルヴィオは巻き返しを狙って調整に抜かりはない。
見応え満点のレースであり、馬券的にもおもしろそうだ。
この重賞、大きく荒れることは少ないが、それでも簡単ではない。02年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、1番人気馬が5勝(2着2回)、2番人気馬は2勝(2着2回)。この間、1、2番人気馬でのワンツーは2回のみ。まずは中穴傾向の重賞と言っていいだろう。
年齢的に見ると、充実期にある5歳馬の活躍が目立ち、4歳、6歳馬がそれに続く。が、ここ何年かの傾向として古馬に比べて斤量が軽い3歳馬が善戦しており、今回も前記した3頭からは目が離せない。当欄としても、その3歳勢に期待してみたい。
最も注目したいのは、カツジである。
前走のNHKマイルCは8着に敗れたが、勝ったケイアイノーテックとの差はコンマ7秒。十分に巻き返し可能だ。
敗因はいくつもあった。2カ月ぶりの実戦だったニュージーランドTを勝ったあとの一戦。落ち着きがなく、イレ込んでいたことを思うと“2走目のポカ”だったのだろう。
だから出遅れもした。フルゲート(18頭)の最内枠だったから最悪だ。終始もまれっぱなしでスムーズさを欠き、勝負どころで挟まれる不利を被る始末。これほどまでにリズムに乗れないのであれば話にならない。だから前走は参考外にしてよく、あらためて期待していいのではないか。
前走後は放牧して休養に。それでリフレッシュされたのがよく、心身ともに成長、たくましくなって帰ってきた。ここを目標にしっかりと調整されており、1週前の追い切りも文句なしだった。
「気のいいタイプ。このぶんなら、いきなりでも走れそう」
こう厩舎スタッフが口をそろえるほどの好仕上がりなら、楽しみだ。
寸詰まりの体型からマイラーと見られており、実際、今回と同じ1800メートルのきさらぎ賞で5着に敗れたことから、距離の不安を指摘する向きもある。
が、この時は休み明けで前走比14キロ増と重め残りの状態だった。母系はホワイトマズル×トニービンとスタミナ色が濃く、2000メートルまでなら問題ないと見るべきだ。強烈な末脚が身上で、大いに期待したい。
京都大賞典は、レッドジェノヴァをイチオシしたい。1600万条件を勝ち上がったばかり。オープンに入っては家賃が高いと見られて当然だが、素質はかなりのもの。断じてヒケは取らない。
札幌で2連勝しての挑戦だが、ともに強い内容だった。
「ひ弱さがなくなり、ここにきて本格化してきた」
とは小島茂調教師の弁。この中間の稽古の動きはかなりよく、さらに上向いている印象である。
マンハッタンカフェ(菊花賞、有馬記念、天皇賞・春)など近親、一族に活躍馬が多くいる良血。好走必至とみた。