清水アキラ(58)は“後継者の育成”にも心血を注ぐ。とりわけ三男・良太郎は、俳優としても活躍。06年にNHKの大河ドラマ「功名が辻」で役者デビューを果たし、その後も映画やミュージカルで幅広く活躍するかたわら、ものまね芸にも磨きをかけている。
そして昨年3月の「爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル」(フジ系)では、初の親子共演も果たしている。歌唱力も折り紙付きで、昨年10月の「オールスター芸能人歌がうまい王座決定戦スペシャル」(フジ系)で優勝したほどマルチな才能も父親譲りだ。
「今年の夏は1カ月間、親子共演では箱根で1日2回のステージをやった。合計66回。俺の背中を見せたかった。ああだこうだ言うより、黙って見せればいいと思ったんだ。親の俺が言うのもなんだけど、ものまねのセンスはある。音を絶対外さないしね。ダメなところは練習嫌い。俺と一緒(笑)。芸能界は二世には厳しい場所。特に芸の世界はごまかしがきかない。政治家だけだよ、二世でもごまかしきいちゃうのは‥‥」
やはり親心としては、息子の今後は気になるところだが、清水はあくまで今後の進路については口を挟まない方針だという。
「俺はヤツ(良太郎)に言うの、歌でも俳優でも何でも一生懸命やれ。でも、どの道に進むかは世間が決めるんだと。世間が何を認めるかで俳優なのか、歌なのか、ものまねなのか、道が決まるんだとね」
一方、今年の夏の舞台で、30年余りお世話になった「ものまね王座決定戦」(フジ系)への引退宣言をした清水アキラ。その言葉には、実は彼の新たな挑戦が秘められていた。
「常にチャレンジすることって大事。60歳を目前にして自分は考えなければいけないところに来たと思うんだ」
この言葉は単なる思いつきではなく、60歳を前に準備を進めてきた。その舞台として清水が選んだのは温泉観光地で有名な箱根湯本。09年、当時新設されたばかりのホテル「天成園」だった。
「お世話になった方からホテルのオーナーを紹介された。俺のショーを『ぜひ(ホテルで)やってくれ、毎日でもやってほしい』と言われ、こんなにありがたい話はないと思ったね。それで年間300日もショーをやってみた。最初は体力的な不安もあったけど、このステージをこなしたことで自信もついた」
「ものまね王座」での活躍や都内の大きなステージとは勝手がまったく違った。地方旅館の舞台で活動する清水のステージを見て、当時の週刊誌に辛口の記事が載ったこともあった。
「“都落ち”だと週刊誌には書かれたこともあったけど全然気にしなかった。やりたいことをやっているんだから気にしない。むしろ移動がない分、芸について一日中考えられたし、磨く時間もたっぷりあった。俺の人生の中でとても貴重な体験ができた」
そんな清水の情熱が伝わったのか、中には1カ月連続で観に来てくれた常連客もいたという。
「ホテルから『あのお客さん今日も来ていますよ』と言われ、お客さんが前回来た日をチェックして『よし、今日はAパターンじゃなくてBパターンでいこう』って、その人のために演目を変えたこともあったね」