「若手に任せず大物こそ汗をかかなければダメ」
「奇跡のコラボレーションがついに実現!」─そんな宣伝文句とともに鳴り物入りでスタートした「日曜ゴールデンで何やってんだテレビ」(TBS系)が苦戦を続けている。ビートたけし(65)と石橋貴明(51)が初タッグを組んだものの第3回目の視聴率は、4・9%に急降下しているのだ
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「裏番組を作っている俺たちからするとラッキーのひと言ですよ。最初は何をやるのか、わからなくて気になっていたけど、あの程度の内容ならまったく怖くない」
他局のスタッフも余裕しゃくしゃくでこう話すほど。たけしと石橋の“関東お笑い界のツートップ”が共演したにもかかわらず、「何やってんだテレビ」の視聴率は芳しくない。
裏番組は「世界の果てまでイッテQ」(日本テレビ系)、「爆笑 大日本アカン警察」(フジテレビ系)など強敵ぞろいとはいえ、あまりにも寂しい数字だ。「テレビをバカにしているのかと、制作スタッフに言いたいですね」
そう嘆くのは、ビートたけしや明石家さんまらを一躍スターダムにのし上げた伝説の番組「オレたちひょうきん族」(フジ系)の演出を担当したテレビプロデューサーの佐藤義和氏である。たけしらとともに人気番組を作り上げた佐藤氏は、「何やってんだテレビ」には厳しい評価を下す。
「2人とも汗をかいていないですね。たけしも貴明も最初に企画を話し合うだけで、あとは若手芸人にやらせて結局、何もしていないじゃないですか。あんなに手を抜いて番組を作って、それを見せられる視聴者はたまったもんじゃありませんよ」
番組のメイン企画は、若手芸人のコントを2人が鑑賞して寸評するというコーナーが中心。いわばネタ番組の司会をたけしと石橋が担当しているといった内容だけに、佐藤氏も「物足りなさを感じる」と指摘する。
「制作スタッフは番組の中身を2人にお任せで、手を抜いているのでは?
2人が何をしたらおもしろいのかを考えるなどの努力が見えません。大物をキャスティングしただけで番組が成功するかといったら、そんなに甘いものじゃない」
蓋を開ければ、視聴率は低空飛行。共演が不発に終わったのも当然だというのである。その違いとして、かつて手がけていた「ひょうきん族」とは、スタッフの番組にかける意気込みの差が歴然と解説する。
「『ひょうきん族』は、スタッフがどうしたらおもしろくなるかを真剣に考えて作っていましたね。キャスティングや企画設定などは制作スタッフが用意し、そのあと、たけしを入れてリハーサル。その段階で、彼のほうから『こうしたほうがいい』などのアイデアを繰り返し出して、それをさらにスタッフが膨らませ、実際の放送ではよりおもしろいものが出来上がっていました。みんな、汗をかいていたんですよ」
だが、関東のビッグ2の共演だけに、巻き返しの可能性はまだまだ十分にあるという。
「若手芸人など他の人間にやらせないで、2人が汗をかいて、全力でバカバカしいことをやっているのが伝われば視聴者も見てくれたはず。今の番組のままなら、2人で取りとめのない話をしていたほうがまだいいのではないか。この先も視聴率が取れないまま、傷を負わせては2人がかわいそうです」
番組のコンセプトである「予測不可能、何が起こるかわからない」にもう一度戻ってみるのがいいのかもしれない。