「嫌われ芸人」として不動のトップをキープしている品川庄司の品川祐。小説家、映画監督、役者など、あらゆるジャンルで成功をおさめたが、なぜか嫌われてしまうタイプなのだ。そんな品川の作家としての最初の作品は、2006年に出版された自伝的小説「ドロップ」。09年には、みずからがメガホンを取って映画化され、興行収入20億円という大ヒットとなった。この作品を巡っては、実は、感動モノの実話が隠されている。
「品川には3歳上のお姉さん、実花さんがおり、彼女には19歳の時に交際していた男性がいたんですが、とび職の仕事中に落下して逝去。以降、恋愛ができなくなってしまったそうです。その元彼をモデルにしたのが『ドロップ』のヒデ。成宮寛貴くん演じる主人公・信濃川ヒロシを弟のようにかわいがるとび職の役で、上地雄輔さんが演じていました」(フリージャーナリスト)
物語上、ヒデは大幅に変えられた役になっている。だが、ヤンキーに“ドロップ”した品川に、優しく接してくれた恩人という根本は同じ。演じた上地には、実在した人物であることを事前に伝えておいたという。
「その後、姉の実花さんはフリーのライターをしていたんですが、11年2月に悪性脳腫瘍と診断されて、余命4カ月と告げられました。当時、元彼を忘れさせてくれた一流企業のビジネスマンYさんと結婚を前提に付きあっており、闘病中に結婚。その翌12年1月、実花さんはこの世を去りました」(前出・フリージャーナリスト)
嫌われる芸風とはいえ、品川がオールマイティーなタレントになった陰には、敬愛すべき姉の存在があったのだ。
(北村ともこ)