地下鉄サリンなどの大量殺人を含む平成最悪の事件を起こしたオウム真理教の、一連の刑事裁判が全て終結した。と同時に持ち上がってきたのは、これで実行されることになる13人の確定死刑囚の「執行」の時期だ。そして最大の関心が集まる「教祖」への執行を巡っては、いまだ世に潜伏する信者たちが「第二の殺人テロ」を起こすとの驚愕情報が浮上したのである。
年明け早々の1月18日、最高裁は元オウム真理教信徒・高橋克也被告(59)の上告を棄却した。地下鉄サリン、松本サリン、坂本堤弁護士一家殺害など、一連のオウム事件では192人が起訴され、うち13人の死刑が確定しているが、今回の上告棄却には特別な意味が隠されている。
「関連事件の共犯者が逃亡中だったり、死刑囚に出廷の必要があったりした場合、通常、法務省は死刑執行にゴーサインを出さない。ところが、高橋被告の上告審は最後のオウム裁判に該当し、事実上、同被告の無期懲役が確定したことで一連のオウム事件は終結する。このことはまた、13人の死刑囚に対する刑の執行を阻んでいた障壁がようやく取り除かれたことを意味しているわけです」(法務省幹部)
そこでにわかに浮上してくるのが、オウム真理教教祖として少なくとも13事件を主導し、27人もの殺害に関与した麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(62)の“Xデー”である。
麻原死刑囚が逮捕されたのは、今から23年前の95年5月。その後、06年9月に最高裁で死刑が確定したが、この間、法廷で意味不明な奇声を発したり、再審を求めたりしてきた麻原死刑囚については「死刑逃れのための悪あがきでは」との声も上がっていた。
目下、その教祖も含めた複数の教団幹部が再審請求中とも伝えられるが、さる法務大臣経験者は、取材にこう断じているのだ。
「昨年、法務省は『再審請求中といえども、死刑は執行する』との歴史的な方針転換に踏み切った。事実、昨年7月と12月、上川陽子法相(64)は17年以上にわたって見送られてきた再審請求中の死刑執行案件にサインしている。したがって、麻原らの再審請求をタテにしての死刑逃れはもはや不可能。万事休すだ」
となれば、次なる関心は「13人いる確定死刑囚について、どの順番で死刑を執行していくか」に移っていく。事実、高橋被告の上告棄却以降、法務省内では早くも順番を巡る検討が開始されているが、この点についても、先の法相経験者の回答は次のように明快だ。
「法務省内では【1】トップの麻原を最初に、【2】13人全員を同時に、【3】最も早く死刑が確定した岡崎一明死刑囚(57)を最初に、の3案が主に検討された。しかし、【1】以外では世間も遺族も納得しないだろうし、死刑制度そのものの存在意義も問われることになる、ということで、【2】と【3】については直ちに却下されている。『麻原が最初』で決まりだよ」
全国紙社会部記者によれば、東京拘置所に拘禁されている麻原死刑囚は01年から日常的にオムツを着用し、08年からは家族や弁護士らとの面会も拒否しているという。だが昨年、麻原死刑囚の四女が推定相続人排除の申し立て(親子の縁を切る手続き)を行った際、拘置所側は「(麻原死刑囚に)精神的障害はない」と回答しており、運動や入浴、健康診断にも応じているということだった。