不祥事の連鎖は終わらない。十両の大砂嵐(25)の「無免許運転疑惑」が浮上した。
「相撲協会は『運転したらいけない』と言っているんだからハンドルを握ったらダメでしょう。過去には現役力士が車を運転して歩行者をハネてしまったこともありました。たとえ相手に過失があって、死亡事故とまではいかなくても、人様にケガを負わせるなんてもってのほか。運転席にいたら自分だって大ケガを負うこともあるでしょう。それを破ったらダメですよ。私が親方を辞めた時は『ギャンブルはダメ。野球賭博をしてはいけない』というルールはなかったんですけどね(笑)」
また、先の「日馬富士暴行事件」を機に、被害者である貴ノ岩(27)の師匠・貴乃花親方(45)と、暴行現場に居合わせた白鵬との対決姿勢がメディアで大きく扱われた。入門当時から貴乃花親方を知る貴闘力はどう見るか。
「本当のことはわからないけど、私が知っている貴乃花親方は細かいことでグズグズ言い続けるような男じゃない。貴乃花親方が『白鵬の野郎』とか『あいつは嫌いだ』なんて発言したわけじゃないでしょう? 2人の対立構図なんてマスコミが作り上げた虚像ですよ」
あらためて初場所を振り返れば、幕内・十両だけで13人もの休場者が続出(1月27日現在)。実力派同士の好取組を期待するファンとしては気がかりだろう。
「ケガが多いのは力士が真剣に相撲を取っている証しですよ。仮に八百長というものがあるとするなら、ケガなんてする必要ないでしょう? 相撲にはいろんな要素があります。スポーツでもあり、格闘技でもあり、そして歌舞伎のように伝統や様式美を重んじる面もある。休場力士が増えたのはガチンコの証しと書いてあげればいいじゃないですか。それで角界が盛り上がるなら」
デビューの舞台となった初場所の前相撲で3連勝を飾った愛息・納谷(17)の話題を振ると、温和な笑みを浮かべながらこう答えた。
「小学校を卒業したらすぐに(中高一貫校の)埼玉栄の相撲部の山田道紀監督に預けたんですよ。この6年間、全てお任せしていました。親元を離れて寮に入って、山田監督のもと、朝から晩までみっちりと相撲の練習に打ち込んだのが本人にとってもよかったと思います。取り口に関して言えば、私とはタイプが違うかもしれませんね。とにかく体が大きくて、おまけにやわらかい。最終的には、両差しで一気に押し出していくような相撲を見せてくれるんじゃないですか? 今はまだ弱いんだから、当たって突っ張っていけばいいんですよ」
祖父は大鵬、父は貴闘力という角界のサラブレッド。いやが上にも期待は高まる。
「え? 将来は大鵬の四股名を? そんなこと、私の口から言えるわけがないでしょう。ファンの方に期待されるのはうれしいですよ。早く番付を上げて、テレビ中継で見られるくらい出世してほしい。幕内で上位力士とぶつかるのが楽しみでしょうがないんですよ」
辛辣な言葉で相撲界を一刀両断した貴闘力も、最後にはすっかり父の顔になっていた。
◆貴闘力(50):二子山部屋出身の元大相撲力士。現役時代の得意技は突き、押し。焼き肉店や居酒屋をはじめ11店舗の飲食店を経営し、グルメ・スイーツ研究家としても活動している。