では往生際の悪い教祖は、いつ絞首台に立たされることになるのか。世間が注目するこの点について、安倍晋三総理(63)に近い官邸関係者は、
「通常、死刑執行は法務官僚から上がってきた執行命令書に法務大臣がサインすることでゴーとなります。ただし、麻原死刑囚に対する執行のような大案件の場合は、総理と官房長官が指揮する政権マターとして扱われる。大臣は官邸の意向に沿ってサインするだけで、自分の意思でサインを拒否することもできません」
と指摘したうえで、次のように明かすのだ。
「麻原死刑囚に対する死刑は遅くとも、今年中には執行されるでしょう。というのも、来年5月には元号が変わる。そして平成の改元の時もそうだったが、元号が変わると恩赦が出る。もし麻原死刑囚に恩赦が出て、死刑が無期懲役にでも減刑されようものなら、世論の怒りが爆発して大騒動に発展する。だから、麻原死刑囚に対する死刑執行は、改元前年の今年中でなければならないんです」
さらに言えば、皇位継承直前の死刑執行もNGだという。今上天皇は「皇位継承によって国民生活に影響が出ることは避けていただきたい」旨を宮内庁に伝えており、来年1月から4月までの間の死刑執行は陛下や皇太子に多大な精神的負担を与えることにもなりかねないというのだ。
とすれば、早ければ今年前半にも麻原死刑囚は東京拘置所内の絞首台に立たされることになるが、それには未曽有のリスクが伴うことも見落としてはならない。
というのも、オウム真理教が消滅した今なお、麻原を唯一無二の教祖とあがめ、これに帰依している「信徒」は少なくなく、麻原処刑で衝撃を受けた信徒の一部が「報復」に動くことは容易に考えられるからだ。
報復の「ターゲット」となるのは、死刑執行を主導した安倍総理、そして女房役としてこれを補佐した菅義偉官房長官(69)、さらには形式的とはいえ、命令書にサインをした上川法相らの政府関係者ということになる。
公安調査庁の公開資料などによれば、オウム真理教は、00年に設立された後継団体の「アレフ」、元教団幹部の上祐史浩氏(55)が率いる「ひかりの輪」、「アレフ」から分かれて15年に活動を開始した「第3グループ」に分派。信徒数は「アレフ」が約1500人、「ひかりの輪」が約150人、「第3グループ」が約30人で、このほか、ロシア国内でも約460人の元信徒らが活動を続けている。
「オウムから分かれた3分派のうち、麻原死刑囚への帰依を最も鮮明にさせているのが、アレフです。実際、東京・足立区にあるアレフの拠点施設内には今なお麻原の写真が飾られ、小・中学生を含む未成年の信徒にまで麻原死刑囚への絶対的帰依を指導している。もし死刑が執行された時、これらの信徒から暴発者が出たとしても、まったく不思議ではない状況にある」(公安調査庁関係者)