12月30日に授賞式が行われる「第60回日本レコード大賞」の各賞が11月16日に発表された。中でも話題になっているのが、今年を代表するメガヒットとなったDA PUMPの「U.S.A.」が優秀作品賞に選出され、大賞の候補作に名を連ねたこと。DA PUMPにとっては14年ぶりの栄誉となったが、この選出には異論が噴出しているという。音楽ライターが指摘する。
「日本レコード大賞は日本作曲家協会が主催しており、日本国内のすぐれた楽曲を表彰するもの。それゆえ外国曲のカバー曲は対象外となるのですが、『U.S.A.』はイタリア人アーティストのジョー・イエローが1992年に発表した楽曲ですので、今回の選出は筋が通らないのです。過去の例を見ても1979年の第21回では、西城秀樹の『YOUNG MAN (Y.M.C.A.)』が外国曲のカバー作品だったために審査対象から外されています。そういう経緯があるため、規定を無視した『U.S.A.』の選出には疑問の声が寄せられています」
ただ、過去の例を見ると、外国曲が日本レコード大賞の各賞を受賞したケースがあるようだ。そこの一貫性はどうなっているのだろうか。音楽ライターが続ける。
「好例は第46回にて平原綾香が『Jupiter』で新人賞を受賞したこと。この曲はクラシックの名作として知られるグスターヴ・ホルストの『木星』を現代風にアレンジしたもので、作曲者にはホルストの名前がクレジットされています。ただ新人賞のほうは“大衆に支持され、将来性を認められた『歌手』に贈る”と規定されており、受賞対象はあくまで平原自身。受賞者の彼女が外国曲を歌うことに問題はなかったのです。同様に昨年の第59回では荻野目洋子の『ダンシング・ヒーロー』に特別賞が贈られており、同曲は1985年にヒットしたディスコソング『Eat You Up』の替え歌版でした」
ただし、さらに歴史をさかのぼると、新人賞の選出に際しても、外国曲が対象外になったことがあるという。
「1980年の第22回では、田原俊彦が2ndシングルの『ハッとして!Good』で最優秀新人賞を受賞しました。実際には、デビュー曲の『哀愁でいと』のほうが売れていたんですが、この曲はレイフ・ギャレットが歌う『NEW YORK CITY NIGHTS』のカバー。それで、『哀愁でいと』を避けて『ハッとして!Good』を歌ったと言われています」(前出・音楽ライター)
ともあれファンとしては、大賞であろうがなかろうが、日本レコード大賞の番組内で「U.S.A.」が披露されれば十分満足なのかもしれない。
(金田麻有)