菅義偉前総理が「再登板」へ向け、不穏な動きを見せ始めている。
昨年10月に岸田政権がスタートして以降、菅氏は要職を外れて、非主流派に身を置いてきた。ところが、9月27日に行われた安倍晋三元総理の国葬儀で、その菅氏が雌伏の時を打ち破るかのように動き始めたという。
いったい、どういうことなのか。岸田派の有力幹部が明かす。
「その日、菅さんは『友人代表』として安倍さんへの弔辞を述べたが、弔辞には現職の総理である岸田さんの名前が一度も出てこなかった。政治の外に身を置く人たちにはピンとこないかもしれないが、ズバリ、岸田さんは『岸田』の2文字が登場しなかったこの弔辞を『再登板へ向けての宣戦布告』と捉えている。しかも、菅さんはこの日のために、知人のアナウンサーに話し方まで教わっていたというから、用意周到だ」
それだけではない。再登板を虎視眈々と狙う菅氏の背後には、「昭和の妖怪」とも言われる二階俊博元幹事長の姿が見え隠れしていた。
安倍派の中堅議員が畳みかける。
「昨年8月に自民党総裁選への出馬を表明した際、岸田さんは当時の菅総理の政権運営と二階幹事長の党運営を、厳しく批判した。当然ながら、岸田さんと菅さんはむろんのこと、岸田さんと二階さんも犬猿の仲に。党内では今、菅さんが二階さんとツルんで『岸田降ろし』を仕掛けていく、と噂されている。しかも党内最大派閥の安倍派は、安倍さん亡き後、跡目争いで分裂の危機にある。菅さんが再登板への動きを加速させる中、老獪な二階さんはいずれ安倍派にも手を突っ込んで、多数派工作を仕掛けてくるだろう」
もともと、二階氏は勝ち馬に乗るのが巧みな「政界のタヌキ」と言われてきた。キツネ顔の岸田総理は、これをどう迎え撃つのか。
永田町の奥の院で始まった「キツネとタヌキの化かし合い」の今後が見モノである。