「アベ森友国会」の成果にほくそ笑むのは、二階氏も同じようだ。自民党の中堅議員秘書は語る。
「二階さんは自分に政権の運営能力がないことを自覚していて、かつ自身が高齢なこともあり、党内で勝ち馬に乗ることでのし上がってきた、いわば究極の“日和見大物議員”。その二階さんが『関与がないことは明白』と言い切ったということは、この苦境を乗り切る自信があるということ」
政権維持を見越して、幹事長という党内外に強い影響力を持つポストにしがみつく腹づもりなのだろう。だが、その見立てが国民感情と真逆であることは言うまでもない。
菅野氏が二階氏の「ダブルスタンダード」を次のように指摘する。
「佐川氏の証言を全て事実認定するということは、昨年3月の籠池泰典氏(65)の証人喚問の証言もいろんなことが事実認定されてしかるべきでしょう。2人の証言で矛盾している部分を全部洗いだしましょうよ、と言いたいですね」
当然ながら、証人喚問で虚偽証言と判断されると、偽証罪での刑事告発もある。例えば籠池氏の、
「売却問題発覚後に、財務省職員から身を隠すよう指示があった」
という発言を、佐川氏は、
「まったくそういうことはしていない」
と全面否定している。
事実は一つ。都合のいい証言だけを採用するのは無理筋というものだ。
一方、政権の屋台骨を安倍総理と二人三脚で支えてきた菅義偉官房長官(69)もまた、二階氏とは違った観点から現状を大歓迎している「クソ野郎」の一人だ。
「菅さんは、同じく安倍政権の片翼を担う麻生太郎財務相(77)とは16年春の消費税増税を巡る対立以降、犬猿の仲で有名です。安倍さん夫妻が発端となった森友問題が麻生さんにまで飛び火し、進退をうかがうという点では、むしろ麻生さんのほうが旗色が悪い。期せずして党内の政敵の力をそぐことができたわけです」(前出・議員秘書)
菅氏に近い関係筋によれば、「あとは麻生さんにお任せ」とばかりに、責任放棄の姿勢を見せているという。
安倍総理が最も頼りにする菅氏は、官僚にとっても幹部人事の決裁権を持つ内閣人事局の長であるため、「影の総理」と恐れられる存在。麻生氏のしかめ面とは対照的に、鉄面皮の奥から笑みがこぼれてきそうだ。