事件

大阪・吹田市「交番襲撃犯」用意周到な犯行でも無罪確定という不思議

「大阪高検内部ではなんとか上告できないかと揉めていたようですが、結局は上告断念ですから腑に落ちません。ここは最高裁に書類が却下されても上告すべきだったと感じています。犯人は計画的な犯行だったワケですから、それで責任能力や心神喪失と言われても一体何だという疑問が…」(在阪司法担当デスク)

 2019年に大阪・吹田市の交番を襲撃して、巡査に包丁で大ケガを負わせて拳銃を奪い取った36歳の男は、強盗殺人未遂と公務執行妨害の罪に問われていた。裁判員裁判によって、大阪地裁は一昨年8月に懲役12年の判決を下したが、今年3月20日の高裁判決は「被告は重い統合失調症の影響で、物事の善悪を判断できない心神喪失の状態だった」として、逆転無罪を言い渡した。

「裁判員裁判は一般人の裁判員6人と裁判官が判断した結果、有罪でした。高裁では裁判官3人が判断するわけです。一般人が入った判断の方が一般社会と近かった気がします」(前出・司法担当デスク)

 大阪高検は上告期限となる4月3日に小弓場文彦次席検事が「判決内容は十分検討したが、適法な上告理由までは見出し難いため、上告は断念した」として、男の無罪が確定することになった。医療観察法では、検察は医療機関で適切な治療を受けるよう裁判所に申し立てることができ、認められれば入院などの対応がとられる。在阪テレビ局報道部デスクが言う。

「犯人は用意周到に、襲撃するチャンスを窺っていた。これは計画的犯行です。交番に電話を入れて、警官が手薄になるように仕向けていた。これでも心神喪失状態だというのは、一般人にはとても理解できないのではないでしょうか。入院措置をしっかりとるべきでしょうが、もし再び出て来て犯罪に手を染めるようなことがあれば、大阪高裁の判決は大問題になると思います」

 心神喪失であれば無罪、というのが現在の状況である。男は「山に隠れている俳優を殺しに行くつもりだった」というワケの分からないことを言ったとされるが、責任能力の有無については、精神科医の鑑定は2つに分かれている。

「まるでフュギアスケートの採点のようで、主観によって点数が異なるのは分かりにくいんじゃないでしょうか」(前出・報道部デスク)

 法律を整備しなければ、似たような判決が下される恐れがあるだろう。

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