将棋の第74回NHK杯トーナメント準決勝第2局は、郷田真隆九段が近藤誠也八段を108手で下し、11年ぶりの決勝進出を果たした。
郷田九段はNHK杯上位の常連で、優勝1回、準優勝2回の実績を誇る古豪。決勝にはすでに藤井聡太七冠が3年連続で進んでいるが、今年度は8つのタイトル戦以外に4つある一般棋戦は全て途中敗退しており、最後に残ったNHK杯で優勝できるかどうかが焦点となっている。
これまで両者は第28期銀河戦と第80期順位戦で二度対局し、いずれも藤井七冠が勝利している。郷田九段は前期の覇者・佐々木勇気八段を破り、勢いに乗って決勝に進出。「羽生善治世代」を代表する棋士のひとりとして、2013年以来の優勝に期待する将棋ファンは多いだろう。
決勝は3月16日の午前10時30分からNHKで放送されるのだが、実は生放送ではなく「録画」によるもの。そのため、これまでにも前もって結果を知る事情通の将棋ファンは少なくなかった。ところが今回は、その結果をNHKが「ネタバレ」させているというのだ。
なんとも見ごたえのない決勝戦に、そろそろNHKは放送の方法を考える時期にきている、との不満が噴出している。
実はNHKは2月10日に「藤井聡太七冠、NHK杯テレビ将棋トーナメントの対局に勝って、最年少で通算400勝を達成」のニュースを報道。ところが日本将棋連盟ではその時点で、「398勝」(未放映のテレビ対局を除く)としていたため、NHK杯で準決勝、決勝を連勝したことが判明してしまったというわけだ。
藤井七冠の400勝達成はたしかにビッグニュースだが、自局が主催するトーナメントの結果を「ネタバレ」させてしまっては興ざめだ。今後はあえて「キリ勝数」にとらわれないか、せめて未放送分がオンエアされてから報道することを検討してもいいのではないか。
(ケン高田)