佐々木さんがわらをもつかむ思いで訪ねた会というのが、やはり末期ガンから生還した川竹文夫さん(71)が代表を務めるNPO法人「ガンの患者学研究所」(045-962-7466)である。97年の会設立以来、会員の300人を超す人たちがガンを克服している。
「私はNHKに勤務し、ディレクターをしていた。絵に描いたような不眠不休、暴飲暴食の生活でした。職場でも先輩、上司たちが次々とガンを発病。みな、大病院で名医の治療を受けましたが、治った人は1人もいませんでした。そうした中で私も発病。90年、右腎臓ガンで全摘手術を受けました」(川竹さん)
退院後、「ガンは自然治癒する」という情報が入り、海外ロケも含め2年をかけて取材。現代医療から見放されながら「自分で治した」末期ガン患者たちを取材し、「人間はなぜ治るのか」を制作した。大反響を呼んだものの、川竹さんは再発した。
「そもそも最初から、3年以内に脳と肺に転移すると言われていた。そして手術から2年後、腎臓ガンが再発したんです。何度眠れぬ夜を過ごしたかわからない。治す方法を模索しました。そして私は、末期ガンから生還した人たちの共通点を導きだし、それを日々の生活に取り入れることを考えたんです。みんな、元のままの生活に戻って再発していました。それを変えればいいんです。結果、私はすぐに再発したガンを克服できた」(川竹さん)
副代表を務める鎌田進さん(51)も、やはり29歳の時に睾丸ガンの最終ステージから生還している。
「大きくなるまで気づかなかった。結局、手術して片方を取りました。卵大でした。その後、仕事に復帰。転移はありませんでしたが、頭の中では、転移するもんだと思っていた。退院後、最初こそ仕事をセーブして生活や食事に注意し、玄米菜食で劇的に体調がよくなりましたが、だんだん生活は元のハードなものに戻っていきました。そして8年後の英国留学中に再発したんです」(鎌田さん)
鎌田さんは、今度こそ本気で治そうと、ライフスタイルを根本的に変える決意をしたという。
「生活を改善しようと、残業を拒否しました。何より大事なのは自分の人生ですからね」(鎌田さん)
穏やかな生活は、鎌田さんの体を回復させた。3カ月もすると、腫瘍は消えてなくなったという。
川竹さんが力説する。
「ガンは長年にわたる間違った生活習慣が原因で引き起こされた病気。ガンは氷山の一角で、水面下に隠された原因である、心の持ち方の乱れ、食事の乱れ、ライフスタイルの乱れを徹底的に取り除かなければならない。ガンという結果を取り除くだけではダメ。原因を放置したままだから再発や転移が起こるんです。ガンは末期だろうが治る。自分の努力でガンを治した人は、以前よりも心身ともにはるかに健康で幸せな人生が送れるようになります」