弱冠二十歳の大坂なおみがBNPパリバ・オープンでのツアー初優勝に続き、今度はあこがれの選手を撃破してみせた。3月21日に開催されたマイアミ・オープンの一回戦にて、テニス4大大会で14回の優勝を誇るセリーナ・ウィリアムズにセットカウント2-0のストレートで勝利したのだ。この勝利に日本中が沸きたつ中、大坂の大活躍に慌てふためく業界もあるという。
「今ごろ各テレビ局は大騒ぎでしょう。何しろツアー初優勝が大ニュースになったにも関わらず、『大坂VSセリーナ』の大一番はどの局でも放送されなかったのです。マイアミ・オープンはNHK BS1で放送されるものも、それは男子のみ。女子の試合は現時点で放送予定がなく、日本で大坂の試合を生観戦できるのはネット配信サービスの『DAZN』のみとあって、契約者が急増中と言われています」(スポーツライター)
テニスの世界では男子ツアーの「ATP」と女子ツアーの「WTA」は別の組織であり、放映権も別。そしてWTAでは「DAZN」を運営する英パフォームグループと昨年、10年間で5億2500万ドル(約540億円)という巨額の放映権契約を締結している。この契約が今後、テレビ局をさらに悩ませることになるというのだ。
「日本では錦織人気の影響で男子テニスの放映権料が高騰。スポーツ専門のCSチャンネルでは、錦織の試合を放送するために他の競技からは撤退した例もあるほどです。そこでさらに大坂の試合も放送するとなると、さらなる放映権料の負担は必至。NHKのように資金力のある局ならまだしも、予算に限りのあるテレビ局では錦織の試合放送を捨て、女子テニスに切り替える可能性も十分にあります。ただでさえ大坂は現在、世界ランキングで錦織を上回っており(大坂22位・錦織33位)、錦織の復調が遅ければテレビ局の“錦織離れ”が始まる恐れすらあるのです」(前出・スポーツライター)
ファンとしては大坂にも錦織にも活躍してほしいのが当然の願い。それがテレビ局にとっては嬉しくも痛切な悲鳴となるようだ。
(金田麻有)