この驚きの発毛法、南米コロンビアの理髪店で行なわれているというが、ドイツにも「牛に頭を舐めさせると毛が生える」という昔からの言い伝えがあるという。荒唐無稽に思えるこの荒技だが、ちゃんと根拠があった。美容、育毛を研究しているヘアコンサルタントの横田登志子氏が話す。
「秦の始皇帝が不老不死の薬の探索を徐福に命じたという話は知られています。そしてたどり着いたのが“ツバメの巣”でした。ツバメの巣には美容によいE.G.F.様物質(表皮成長因子)や弾力をサポートするF.G.F.(線維芽細胞増殖因子)のほか、シアル酸が人間の2000倍も豊富に含まれている。これが発毛、育毛にすごく効果があるんです。シアル酸を薄毛の頭皮に6カ月塗布した結果、4人のうち3人に効果があった」
よく知られているように、ツバメの巣とは、アナツバメの一部の種類の雄が繁殖期に約30日をかけて、唾液の分泌物を固め絶壁につくる。このツバメは休むことはほとんどなく睡眠も飛翔しながらとると言われている。古来より長寿、美容に大きな効果があると言われてきたが希少で高価。ところが、何と牛の唾液がこのツバメの巣の代用になるというのだ。含まれるシアル酸の量はツバメの巣には及ばないが、人間の数十倍から100倍にもなるという。そして、名古屋市立大学でのマウスを使った実験で、シアル酸に育毛効果がある事がわかったというのだ。かといって、牛が身近にそばにいる環境に住む人は今の日本では、そう多くはないし、そもそも頭を舐めさせるには勇気がいる。前出の横田氏が言う。
「人の唾液を増やして利用すればいい。歯応えのあるものや酸っぱいものを食べると唾液の量は増える。ガムを噛むのもいい」
この唾液をせっせと頭に擦り付ける!?
「必ずしも頭皮に塗らなくともいい。ツバを飲むだけでも効果はあります。それによく噛むことで健康になります」(横田登志子さん)
それならせっせとガムを噛むことにしてみるか。
(谷川渓)