仁川(阪神)の桜は散ることを惜しみ、咲き誇っているが、その桜吹雪の祝福を浴びるのは、いずれの馬か──。今週はクラシック第1弾・桜花賞がメインだ。
例年にも増して顔ぶれがすごい。4戦土つかずのラッキーライラックが最右翼だが、有力候補にあげられている馬は多く、しかもハイレベル。どれほど華麗で見応えある舞を見られるのかと、楽しみでならない。
むろんのこと、馬券的にもおもしろく、かつ難解な一戦。そして、こんな視点で見ることもできる。
生産牧場最大手「社台ファームvsノーザンファームの対決」という構図。前者はアンヴァル、ハーレムラインなど6頭、後者はアーモンドアイ、ラッキーライラックなど8頭が出走を予定している。
さらに、生産界を席巻するディープインパクト産駒(6頭)vsこれからの期待を背負うロードカナロア産駒(3頭)の「種牡馬対決」。ともに、出走馬のいずれにもチャンスがあっていいからだ。
とにかく、競馬ファンとしては、いろいろな見方で楽しめる、たまらないクラシックではなかろうか。
まずはデータをひもといてみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの15年間、その馬単で万馬券が飛び出たのは4回(馬連2回)。この間、1番人気馬は4勝(2着4回)、2番人気馬も4勝(2着5回)で、1、2番人気馬のワンツーは4回ある。
つまり、1、2番人気馬がともに連対を外す可能性はそう大きくなく、人気、有力どころを軽視してまで他の馬を主力に据えるのは無謀というものだ。
であるなら、前述のラッキーライラックか、その対抗馬との評価が高いアーモンドアイのいずれかから入るのが馬券の筋ということになるが、冒頭で記したように、過去に見られなかった出走馬の質の高さを思えば、そう簡単ではなく、穴党としては、やはり、有力どころでも比較的人気になりそうにない馬に目を向けてみたい。
期待したいのはそんな一頭、レッドレグナントだ。
未勝利-特別を連勝。ともにワンサイドの好内容で重賞でも──と注目されたが、その後は体調を崩して休養。立て直したあとの前走・アネモネSでも2番人気に支持された。
レースでは前々走と同様、逃げの手で積極策に出たが、最後は息切れしてハーレムラインの2着。5カ月半ぶりの実戦で、馬体に余裕があって重め残りの状態だったのだから、やむをえまい。しかし、それでも勝ち馬とはコンマ2秒差の競馬。能力の高さは、かなりのものと言っていいだろう。
この中間は一度使われたことで馬体も締まって実にいい雰囲気。稽古の動きはリズミカルで素軽く、大幅な良化は明らかだ。1週前の追い切りも軽快そのものだった。
「使われつつ地力は強化されてきた。この分ならば、かなりいい状態で臨めそうだ」
こう胸を張って言い切るのは大竹調教師。ならば、相手が一気に強くなる本番でも期待していいのではないか。
この馬も注目のロードカナロア産駒で、血統(母系)が、またいい。祖母はGI南部杯など9勝したゴールドティアラで、チーフホンチョ(GIブルックリンH)、名種牡馬ジェネラルアセンブリー(GIトラヴァーズS、GIホープフルS)、ヴェルサイユトリーティ(アラバマSほかGI3勝)など、近親、一族に活躍馬がズラリといる良血なのだ。
再びM・デムーロ騎手とコンビを組むのも魅力だが、恐らくこの馬が主導権を奪うはず。他馬が牽制し合う中、一気の逃げ切りも十分あり、良馬場条件に大きく狙ってみたい。