関東開催は、東京から再び中山に戻る。同時にクラシックを奏でる蹄音が少しずつ大きくなってきた。競馬シーズンを迎える、その序奏である中山開幕週のメインは中山記念だ。
毎年、好メンバーがそろうことで知られるGII戦だが、今回も伝統ある一戦にふさわしい顔ぶれだ。
このレース3連覇の偉業がかかるウインブライトを筆頭にインディチャンプ、ソウルスターリング、ペルシアンナイト、ラッキーライラックなどGI馬が顔をそろえ、頭数は少ないながらも、まずは見応えある、目が離せない競馬になること請け合いだ。
ただ、頭数が少ないということで、馬券的には、どうだろう。穴党の出番というわけにはいかない。
それでも決して順当に収まっているわけではない。過去のデータを見てもそれがよくわかる。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は3回(馬連では2回)。1番人気馬は5勝(2着1回)、2番人気馬は4勝(2着2回)。この間、1、2番人気馬によるワンツーはなく、大きく荒れることは少ないものの、「人気、有力どころ同士での決着はない」ということは知っておくべきだろう。
だから最有力候補とみられているウインブライトを絶対視はできない。中山コースとの相性は〈5 2 0 2〉と抜群で、前走の香港カップを勝った時と比べても「今回のほうが順調に調整できており、状態はいい」(畠山調教師)。とはいっても、簡単には飛びつけない。他馬より背負う斤量の問題もあるし、仕上がりがいいといっても、一息入ったあと、3カ月ぶりの実戦ということもある。
というわけで期待を寄せたいのは他の馬。ダノンキングリーを狙ってみたい。
今回は3カ月半ぶりの一戦。前走のマイルCSは2番人気で5着と期待を裏切る結果になったが、振り返ってみると、落ち着きを欠いたりしていて、状態が本当ではなかったと思えるのだ。2走前の毎日王冠を4カ月半ぶりの実戦でありながら圧勝したその反動、いわば「2走ボケ」だったのではないだろうか。
今回も再調整しての休み明けになるが、放牧でリフレッシュされ、ここを目標にしっかりと乗り込まれてきている。馬体に締まりがあり、重め感はなく、1週前の追い切りの動きも実に軽快だった。ならば期待していい。
皐月賞はアタマ差3着、ダービーはクビ差2着と、優にGI勝ちに等しい内容である。こうした実力に加えて中山コースは〈1 0 1 0〉と相性がよく、1800メートルは2戦2勝という得意距離での競馬。走れる条件がそろっているのであれば、良馬場なら頭から狙い撃ちといきたいところだ。
関西の舞台は阪神に移り、開幕週のメインは阪急杯。GI高松宮記念の前哨戦で、なかなかの好メンバーがそろった。
各馬の力は拮抗しているが、穴党として期待したいのは、ハッピーアワーだ。
ここは休み明けを使われて3戦目。着順はともかく、前2走の内容は悪くなく、この中間、大幅な良化ぶりを見せているだけに、変わり身を見込んでいい。
実際、稽古の動きが素軽くなっており、1週前の追い切りも実によかった。ならばチャンスがあっていいのではないか。
ノビシロのある明け4歳馬で、厩舎サイドも「GIを狙えるまでになっていい器」と口をそろえるほど。
米、欧州2歳王者のヨハネスブルグ(BCジュヴェナイル、ミドルパークSなどGI4勝)が近親にいる血筋。良馬場条件に大きく狙ってみたい。