先週のエリザベス女王杯から暮れのホープフルSまで、8週連続してGI戦が続く中、今週末、京都で行われるマイルCSはなかなかの豪華版だ。
秋初戦の天皇賞で2着と幸先いいスタートを切ったダノンプレミアムが最有力候補か。距離に融通性がある馬だが、ベストはやはりこのマイル戦。盾が2000メートルだったことを思うと、適距離に戻れば絶対視されても当然だろう。
とはいっても、これに続く馬も実に骨っぽい。前哨戦のスワンSを快勝し、勢いづくダイアトニック、ダービー2着馬で、毎日王冠を制したダノンキングリー、スワンS2着のモズアスコット、同じマイルGIの安田記念を勝ったインディチャンプも健在で、激しくも見応え満点のレースになること請け合いだ。
穴党としては前述した有力どころを本命視するわけにはいかないが、まずはどんな傾向があるのか、過去のデータを見てみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は4回(馬連では2回)。一見すると人気サイドで堅く収まるように思われるが、そうでもない。1番人気馬は6勝(2着3回)、2番人気馬はわずか1勝(2着4回)で、1、2番人気馬のワンツー決着は2回のみ。どうやら中穴傾向のGI戦とみていいようだ。
年齢では4歳馬が強い。過去17年間で9勝(2着5回)と圧倒的だが、出走頭数からみると、18年、17年と2年連続で優勝している3歳馬の活躍も目立つ。今回はダノンキングリーがその筆頭だが、他にも3頭出走しており、目が離せそうにない。
それともう一つ、牝馬が善戦している点も見逃せない(1勝、2着3回)。今年はプリモシーンとレッドオルガの2頭が出走。追い切り内容など、その動向にも注意を払いたい。
と、過去のデータを並べてみたが、穴党としては、こうしたデータ的なものは少々軽くみてかかりたい。狙いはマイスタイルだ。
こちらは年齢的にピークにある5歳牡馬。データ的には4歳勢に比べると分が悪いが、この馬はオクテのようで、厩舎関係者が「今が最盛期」と口をそろえるように、状態のよさが実に目立つのだ。1週前の追い切りも、軽快かつリズミカル。とにかく動きがよかった。
「無理使いをしていないので、まだ上がり目はある。この秋一度使われて、さらによくなっている」
昆調教師がこう言って目を細めるように、動き、気配のよさからしても十分うなずける話である。
このところブリンカーを装着しているが、「より集中心が出た」(昆師)というように、これが大いに効いていて、レースぶりもよくなっている。以前は1800~2000メートルで結果を出していたが、距離を詰めたのも正解だったと言えそうだ。
そして強調したいのは展開だ。前走のスワンS(3着)は好位につけて立ち回ったが、この馬は全5勝のうち逃げ切り勝ちが3回。これまでのマイル戦は4、5番手につけることが多かったが、今回の顔ぶれを見ると、純然たる逃げ馬がおらず、「大胆な逃げ作戦」を陣営がもくろんでいる可能性は十分あるとにらんでいる。
主戦の田中勝騎手も、
「枠順がよければ。真ん中より内めの好枠を引くようなら、おもしろいよ」
と、ヤル気をにじませている。目下の好調さを思えば、こうしたコメントが口をつくのも不思議ではないだろう。
近親、一族に欧米で活躍した馬が多い血筋。大きく狙ってみたい。