93回を数える伝統の一戦、中山記念が東のメインだ。毎回、顔ぶれがいいGII戦として知られるが、一昨年、大阪杯がGIに昇格したことにより、その前哨戦としての意味合いで、さらに重みを増した格好。今年も、エポカドーロ(皐月賞)、ステルヴィオ(マイルCS)、スワーヴリチャード(大阪杯)、ディアドラ(秋華賞)とGI馬が4頭出走してくる豪華版だ。
ただそのためか、出走頭数は少ない。が、本番に向けて有力馬がどんな競馬を見せてくれるのか、興味は尽きない。
まずはデータをひもといてみよう。
馬単が導入されたのが03年。それ以降、これまでの16年間で、馬単での万馬券は3回(馬連では2回)。この間、1番人気馬は5勝(2着1回)、2番人気馬は4勝(2着2回)。1、2番人気馬のワンツー決着はない。
大きく荒れることは少ないが、かといって簡単に有力、人気どころで決まりにくいのが特徴か。
この16年間で7歳、8歳馬の古豪が2勝ずつあげており、年齢を重ねているからといって軽くみることはできないが、明け4歳馬、充実著しい5歳馬は強い。
そしてここ何年かは牝馬の好走が目立つようになっており、紅一点ラッキーライラックは軽視できないだろう。今週の追い切りで、どのような動きを見せるか、注目ものだ。
しかし、別定戦である以上、前述したGI馬を優位に見るのが、やはり馬券の筋だろう。当欄としても、この4頭のいずれかを中心に据えたい。
その中で、最も期待を寄せたいのは、エポカドーロだ。
昨年春の勢いはすごかった。小倉のあすなろ賞(500万下)を勝つまでは、大して注目されなかったが、そのあとはスプリングS僅差2着、皐月賞制覇、ダービー僅差2着の大活躍。
秋は神戸新聞杯4着、菊花賞8着と失速したが、これは恐らく体調が整わなかったこともあるだろう。それに菊花賞は、3000メートルの距離がこの馬には長かったと見るべきだ。
父は3冠馬オルフェーヴルだが、母は短距離馬。ずんぐりした体型から察しても、ベストは、やはり皐月賞と同じ2000メートル前後なのだろう。
ということで、今後は中距離路線を歩むことになっているが、その意味でも今季初戦のここで好スタートを切りたいところだ。
菊花賞のあとは、リフレッシュ放牧。これで疲れが取れたのか、しっかり乗り込んで、追われるたびに動きがグングンとよくなってきている。1週前の追い切りもリズミカルで文句なしだった。4カ月ぶりの実戦になるが、臨戦態勢はきっちり整っているとみたい。
「体重は増えているが、みんな成長分。いい感じに仕上がっている」
と、藤原英調教師をはじめ、厩舎スタッフは口をそろえて状態のよさを強調する。
気がいいタイプで鉄砲駆けする馬。〈1 1 0 0〉と相性のいい中山が舞台でもあり、頭から狙い撃ちといこう。
一方、西のメイン、阪急杯は混戦模様。各馬の力は接近しており、馬券的におもしろい。
狙ってみたいのは、スマートオーディンだ。3歳時はクラシック候補として注目されたが、ダービー6着のあと、脚部不安で2年もの長期休養を余儀なくされた。
それだけに復帰後もパッとせず、ここまでに至っているが、それでも前走の京都金杯では、しまい鋭く伸びて復調の兆しがうかがえた。10着といっても勝ち馬との差はコンマ4秒だ。
この中間は稽古の動きもよくなっており、馬体も締まって走れそうな体つきになっている。1400メートルの距離は初めてになるが、NHKマイルCをレコードで制したダノンシャンティ産駒。距離短縮は、かえってプラスと言っていい。