サッカー日本代表監督のハリルホジッチ前監督(65)がロシアワールドカップを目前にして電撃解任された。日本サッカー協会の田嶋幸三会長(60)は、選手との信頼関係崩壊を理由にあげるが、きっかけはスポンサーサイドとの思わぬトラブルに発展した“サプライズ人事”にあった。
6月14日から開幕のサッカーワールドカップが迫る中、前代未聞の監督交代劇が起きた。ハリル前監督の進退を問う声は、W杯予選大会でも再三、巻き起こっていたが、土壇場にきて現実のものに。サッカーライターの渡辺達也氏が話す。
「W杯の切符を手にしたことで続投となったが、その後の親善試合はどれも不安が募る戦いぶりばかりでした。先月のマリ戦(1対1のドロー)とウクライナ戦(1対2で敗戦)を見ても、このままではW杯3敗どころか、1点も取れずに終わる可能性もあった。この監督交代はよかったと思いますよ。これでW杯がもう少し注目されるでしょうし(苦笑)」
実際、2カ月前にもかかわらずロシアW杯は一向に盛り上がらず、日本代表の戦いぶりは低調そのものだった。スポーツライターが振り返る。
「フルメンバーで臨んだ親善試合は、ここ5戦連続で勝利ゼロ。ハリルは言い訳がましく『選手選考』を繰り返し、いまだにベストメンバーを固定できていない。それもそのはずで、ある選手が『(監督に)意見を言えば(代表を)外される』と嘆く状況が続き、いつのまにか、忠誠心を問うような恐怖体制になっていた。昨年11月の欧州遠征でも、エースナンバーの10番を背負ってきた香川真司(29)の『サプライズ外し』が大々的に報じられたが、彼も直前合宿でハリルとぶつかっていたそうで、海外組との溝が一気に深まったものでした」
この香川外しは意外な方面にまで大きな波紋を呼んだ。民放局記者によれば、
「サッカー協会の2大スポンサーといえばキリンとアディダス。特に後者とは、15年4月から22年12月末まで、総額250億円超の大型契約を結んでいます。そのアディダスは2年に一度、新作の代表ユニホームを発表しており、今回が10作品目。日本代表の10番はアディダスのスパイクを履く選手という不文律は有名です」
しかもW杯イヤーの“戦闘服”は、まさにドル箱商品。昨年11月6日から大々的なキャンペーンが行われたところ‥‥、
「スポーツ紙でもラッピング広告(通常のトップ面と終面にかぶせるように紙面を1枚増やし、計4頁の広告)を展開した。トップ写真はアディダスの顔、香川。ところがハリルの“サプライズ人選”によって突然の代表落ちでしょ。広告代理店サイドは真っ青ですよ。変更が間に合わず、スポンサーサイドからは『なぜ事前に代表漏れの可能性を伝えないんだ!』と、協会の対応に激怒する声も出たそうです」(民放局記者)
一事が万事。欧州遠征戦をテレビ中継したテレビ朝日でも、番組宣伝のポスターに香川の姿があり、あらためてハリル前監督が協会に事前通告なしの“サプライズ落選”だったことをうかがわせたものだった。