戦前の下馬評を覆し、終わってみればみごとな快勝──。W杯予選での日本代表チームは、強豪・オーストラリア相手に危なげないゲーム運びで6大会連続の出場を決めた。しかし、その場所には、本田圭佑や香川真司といったかつての中心選手の姿は消えていた。ロートル粛清が始まったハリル監督の本音はどこにあるのか!
「代表メンバー発表の時から、すでに本田と香川は外されるという予兆がありました」
そう振り返るのは、ベテランのサッカーライター。
6大会連続6度目のW杯出場が決まった8月31日の対オーストラリア戦。ハリルジャパン発足時から日本代表の中心的役割を担ってきたFW本田圭佑(31)、MF香川真司(28)の姿はピッチになく、ベンチ入りしたものの、出場機会はまったく与えられず大一番を終えたのだった。
時計の針を試合1週間前の8月24日に巻き戻そう。豪州戦とサウジアラビア戦(9月5日)に臨む日本代表27人が発表された際のことだ。ヴァヒド・ハリルホジッチ監督(65)は、日本代表監督に就任以来、レギュラー候補の順に選手の氏名を読み上げるのが通例だった。この日の発表では、SB(サイドバック)では、酒井宏樹(27)、長友佑都(30)、CB(センターバック)では、吉田麻也(29)、昌子源(24)が、同ポジション内で先に発表され、実際に試合でもスタメン起用された。ところが‥‥。
「注目されたトップ下のポジションで香川が呼ばれたのは3番目。右FWでは、まず浅野拓磨(22)、久保裕也(23)が読み上げられ、本田の名前は同じく3番目。これで報道陣は、香川、本田の起用はほぼないと予想できました」(前出・サッカーライター)
案の定、豪州戦でトップ下として出場したのは井手口陽介(21)。右FWのスタメンは浅野で、途中交代で出場したのが久保だった。つまり、香川と本田は、試合1週間前の時点でハリル監督の“構想”から外れていたというのだ。
中でも本田は、メンバー発表の2日前に所属するメキシコ・パチューカで移籍後初めて試合に出場し、ゴールも決めていた。にもかかわらず、報道陣からコメントを求められたハリル監督は、表向き「すばらしいデビュー戦。よかったね」と賛辞を述べたものの、ニコリともせず仏頂面だったという。
「豪州戦でスタメンに抜擢されゴールを決める活躍を見せた井手口と浅野は、16年のリオ五輪代表。08年北京五輪代表である本田、香川から“2世代下”が、代表の主力として活躍できるほど成長してきたわけです。世代交代は確実に進んでいると言っていいでしょう」(前出・サッカーライター)
15年にハリル監督が就任した際に、中心メンバーとして誰よりも目をかけていた本田は、もはや“お払い箱”となっているのだ。