昨年秋の「日馬富士暴行事件」を契機に対立姿勢を強めた貴乃花親方(45)と白鵬(33)。相撲協会を巻き込んだ角界の新旧ヒーロー対決は、貴乃花親方の5階級降格処分で一応の決着を見たが、識者たちは早くも白鵬引退後の第2ラウンドを見据えている。
「白鵬の帰化、一代年寄襲名には父親のムンフバトさんが反対してきたと言われますが、先頃、死去したことにより障害がなくなった。白鵬の相撲っぷりからして2年後の東京オリンピックまで横綱は務まらないでしょう。あとはどういう形で辞めるか。引き際の問題だけです」
こう語るのは、相撲評論家の中澤潔氏だ。
この言葉を裏づけるように、白鵬はすでに引退後の青写真を描いていた。一代年寄襲名で相撲協会に残り、さらに東京の一等地・銀座に部屋を構える計画を持っているというのだ。
相撲関係者が言う。
「話が持ち上がったのは6年前。モンゴルの大先輩・旭天鵬(43)が在籍していた大島部屋と白鵬の宮城野部屋の合併話が出た際のことだ。先代が実権を握っていた宮城野部屋をその影響下から遠ざけようと、旭天鵬と一緒に銀座で部屋を作ろうということになった。銀座の土地も入手したが、結局は合併の話は水泡に帰した。とはいえ、銀座に部屋を建設する計画は今も継続中で、壁は一面ガラス張りにし、中の稽古の様子が見られるなど、今風の作りにするようです」
盟友の旭天鵬はすでに親方として友綱部屋を継承しているため、白鵬に一代年寄が認められると、この物件には「白鵬部屋」の看板が掲げられることになる。
所属力士の数や実績はさておき、立地面で「貴超え」を果たした白鵬の次なる野望とは──。
「ゆくゆくは執行部入りして、外国人は親方(協会員)になれない、外国人力士は一部屋1人という今の規則を改めることです。それは白鵬の悲願とも言えます」(相撲関係者)
漫画家で好角家のやくみつる氏が言う。
「白鵬は後進のために、相撲界の規則やしきたりを変えていくと言っています。しかも、彼は情報を発信するのが大好きで、親方衆は白鵬にいいようにされてしまうのではないでしょうか。その時、抗し切れるのは貴乃花親方だけです。復権して、白鵬の対立軸として担ぎ上げられるでしょう」
貴乃花親方はつい先日、「貴乃花一門」の名称を返上したが、再び立ち上がる日は訪れるのだろうか。
さて、モンゴル勢と聞いて気になるのは、あの元横綱の近況だが‥‥。
「昨年に引退した日馬富士の『引退相撲』の日程がなかなか決まらないんです。横綱の引退相撲となれば、入場料や場内の物販、タニマチからのご祝儀で億単位の金が動きますからね。日馬富士も『1億円がパーになったら‥‥』と、引退のきっかけを作った貴乃花への恨みを募らせているそうです」(後援会関係者)
銀座に相撲部屋、さらに「1日で1億円」。土俵に金が埋まっているとはよく言ったものだ。