十両のモンゴル勢には実力派がひしめいている。
元学生横綱で鳥取城北高出身の水戸龍(23)をはじめ、大翔鵬(23)、旭秀鵬(29)に加え、暴行事件の現場に居合わせた元大関・照ノ富士(26)らは、同郷の貴ノ岩にとって手ごわい相手となって立ちふさがるに違いない。
また日本人力士では、日馬富士が所属していた伊勢ヶ濱部屋の照強(23)が再十両入りしている。
「168センチ、115キロの小兵だが、日馬富士に鍛えられたスピード相撲が持ち味。師匠の引退の原因を作った貴ノ岩との“代理戦争”となる一番は、当然、けんか腰になるはずです」(ベテラン記者)
十両の取組でこれだけの好カードがそろうのだ。
「代理戦争が真剣さを増す。ガチンコ相撲らしい取っ組み合いを見たい」
相撲評論家の中澤潔氏もこう言って幕内の取組に期待を寄せるが、一方で気になるのは3横綱のコンディション。
「白鵬(32)、稀勢の里(31)、鶴竜(32)はいずれも休場する可能性が高い。稀勢の里は出場してダメなら引退。みずから退路を断つようなことはせず、十分な準備をする必要があります」(やく氏)
三月場所は上位陣が崩れることが多く、「荒れる春場所」と呼ばれるが、土俵外の因縁がさらなる大波乱を起こすかもしれない。
「最近は15日間で300番くらいの取組が行われて、1分を超える大相撲は10番くらい。上位の相撲は形だけで、真剣さからかけ離れた取組が少なくありません。そうした中で、貴乃花部屋の貴景勝(21)は表情ひとつ変えませんが、内には相当な闘志を秘めています。負けん気が強いし、これまた白鵬との“代理戦争”となる対モンゴル勢の一番は見逃せません」(中澤氏)
先場所で平幕優勝した栃ノ心(30)が、2場所連続優勝で大関取りにつなげられるかにも注目が集まる。
「先場所の優勝は実力でもぎ取ったもので、連続優勝なら当然、大関に上がるはず。2場所連続で10勝をあげ、三役に復帰した逸ノ城(24)も怖い存在。春場所の見どころはたくさんあるので、横綱がふがいない相撲を取るなら、いっそ休場してくれたほうがいいくらいです」(前出・中澤氏)
大混戦が予想される中、土俵外の動きからも目が離せない。
「立行司のセクハラに始まり、初場所中には大砂嵐(26)の無免許運転までが発覚。そのうえ、元所属力士による暴行事件を春日野親方が隠蔽していた疑惑が報じられました。こうした報道はゴタゴタが続く協会内のリーク合戦という見方もできます。となれば、求心力を失った貴乃花親方の周囲で新たなスキャンダルが発覚してもおかしくありません」(スポーツ紙デスク)
力士たちには土俵外の逆風や雑音をものともしない名勝負を見せてほしい。