もっとも、貴乃花親方にも背に腹は変えられない事情がある。
「協会内の立場はもちろん、経済的にも貴乃花親方の前途は相当に厳しくなる一方だ。有力な支援者の一人であった鹿児島・最福寺の池口恵観法主(81)が離れたことでも明らかなように、相撲協会との対立姿勢を鮮明にしていったことで支援者離れが加速している。そもそも貴乃花親方はタニマチを排除し、相撲部屋サポーターシステムを採用したが、これがほとんど機能していない。親方となってからは、先代二子山親方の所持していた親方株、さらには若・貴時代で注目を浴びた中野区の相撲部屋も売り払い、現在は江東区で間借りしている居候の身です」(角界関係者)
さらに、今回の騒動の余波も甚大だという。
「理事時代は約144万円あった月給も5階級落ちのヒラ年寄では64万円低い約80万円へと激減しています。貴公俊の暴行は付き人不足が原因でしたが、このままでは新弟子も取れないために部屋を存続してもジリ貧になることが見込まれるのです。過去の例では、旭道山(53)が廃業したあとに新進党から衆院選に出馬しましたが、貴乃花親方の場合は部屋を一門に譲り、政治家に転身することになる」(角界関係者)
相撲協会改革を声高に叫んできた貴乃花親方だが、ヒラ年寄になり向こう10年は冷やメシを食らうことが予想される。もはや、内部から相撲協会の改革に取り組める可能性はゼロに近いのだ。
「これまでは内部からの相撲協会解体と改革に固執していた貴乃花親方ですが、外側からの外圧で相撲協会を変革するという口説き文句であれば十分に出馬する可能性はあると、現在の永田町ではもっぱらです。実際、国会議員となれば経済的な負担からも解放されるほか、スポーツ行政に邁進すれば相撲協会の改革どころか、生殺与奪を握ることになり、外部からでも現在の相撲協会を潰して再建させることができる。自民党内では、騒動後も一門会に出席するなど貴乃花親方をサポートし続けている川淵三郎さん(81)に仲介をお願いしようというプランすらあがっている」(政治部デスク)
今後、白鵬(33)が引退し、一代年寄を取得すれば、貴乃花を抜く最多優勝親方の名声をほしいままにし、貴乃花親方の暗黒時代は永続することになる。いっそ政界転身の大勝負に打って出ることが、貴乃花親方の目指す「相撲道」への近道となるのは間違いない!?