巨人のカリスマ・上原浩治の登板間隔が空き過ぎている。DeNA戦で救援に失敗して以降(4月10日)、連投はなくなり、5月に入って投げたのは4試合。(30日時点)。高橋由伸監督は意図的に“温存”させているようだ。
「僅差でのゲームで使わなくなりました。キャンプをやっていないので肩が完全にできていません。登板間隔が空いた最初の頃は調整の一環だと思ったんですが」(スポーツ紙記者)
上原の登板間隔が空いたのは、球速の衰えがまずあったという。復帰当初は本人も自虐的に話していたが、近年、対戦チームのデータ解析が急速に進歩し、ストレートの球威が衰えていることが、他投手との比較によって数値化されてしまう。ベテランとしての経験値だけでは相手打線を抑えられない時代になったというわけだ。
「でも、高橋監督の、僅差で上原を使わない選手起用を見て、巨人選手に緊張感が走りました。実績、経験値ではなく、調子のいい選手を使っていくんだ、と」(前出・スポーツ紙記者)
巨人はベテラン選手も多いせいか、スロースターターの傾向が強い。昨季は長野久義が不振に陥ったが、高橋監督はガマンして使っていた。「このままで終わる選手ではない」と思ったからだが、チームの緊張感を失わせた。上原の登板間隔を空けさせたのは、その反省もあったのだろう。
「上原自身が球威を高める以外、信頼は回復しないでしょう」(関係者)
上原は登板予定のない日もブルペンで投げ込みを続けている。その姿を見て気持ちを引き締めた投手もいるが、「キャリアを考えると,二軍に落とすことができない」の声も聞かれた。高橋監督の“非情采配”はチームを引き締めたが、元同僚の同級生投手の現役人生を終わらせてしまうかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)