こうした状況に、日大アメフト部の現役部員や父母会が真相究明のために立ち上がり、ついには教職員組合も声を上げた。
「内田前監督を常務理事として重用してきた田中英寿理事長に対し、被害者らへの謝罪と信頼回復に向けての大学の抜本的改革を求める声明文を発表した。なにしろ日大は国内最大の学校法人で、国から92億円以上の補助金交付を受けている。うち約80億円が税金となれば、文科省もスポーツ庁も看過できません」(スポーツ紙デスク)
すでにスポーツ庁の鈴木大地長官は、
「我々がリーダーシップをとって、きっちり真実を解明していくしかない」
と宣言している。
「史上最悪の会見」で「しつこい」「迷惑だ」などと横柄かつ高飛車な大暴言を連発し、世間をアゼンとさせた日大広報部職員の司会者が「(日大ブランドは)落ちません!」と声を張り上げたが、これもまた、現実を理解していない愚行だった。
「真っ先に反応したのが、『紳士球団』をうたう巨人でした。日大は公式スポンサーで、事件が起きた5月6日は偶然にも『日大デー』。日大所属で平昌五輪の男子モーグルで銅メダルに輝いた原大智(21)が始球式を務めていた。今回の事件で日大側から申し入れがあり、残り2回の『日大デー』は中止に」(民放局記者)
球界の日大離れはヤクルトやDeNA、楽天にも及び、球場内の看板について「スポーツ日大」から「日本大学」への変更などを検討している。スポーツ紙デスクが言う。
「日大は田中理事長の意向で16年に『スポーツ科学部』を新設するなど、経営の舵を大きく切った。巨人軍との契約も同年からでした。この学部はトップアスリートの本格的な養成を目指し、冬季五輪スノーボードで2大会連続銀メダルの平野歩夢(19)も日大所属。20年の東京五輪でもスケートボードでメダルを目指す中、日大が特別な練習場を造るなど、驚くほどのバックアップ体制なのですが‥‥」
ブランドイメージが地に堕ちた日大にとって最大の痛手は、競泳界のヒロイン、池江璃花子(17)が突きつける三行り半だ。さる私立大の運動部コーチが明かす。
「来年4月の日大進学が内定していました。5月23日から開催されたジャパンオープンでは、女子50メートルバタフライで今年3度目の日本新記録を樹立した。日大水泳部といえば『フジヤマのトビウオ』と呼ばれた元日本水泳連盟会長の古橋広之進さんらを輩出した名門。1学年上でリオ五輪に出場した、池江が慕う長谷川涼香や持田早智が今春、入学したことで池江も追随するつもりでしたが、どうやら再考することに決めたようです。早稲田大や東洋大などの実績校が再アタックする動きも見られる。日大の系列高校の有力選手が他大学に進学するケースも急増しそうです」
日大アメフト部OBは、昨年の26年ぶり優勝の歓喜から一転、「人生の誇りを失った」と嘆いた。日本一のマンモス大学が、坂を転げ落ちていく──。