日本で営業するお酒の買取専門店のスタッフはこう明かす。
「ウイスキーを買い求めにくるお客さんは、ここ数年で中国人が圧倒的に増えました。たまに転売目的の日本人もいますが、購入するのは2、3本。中国人は在庫全てをまとめ買いしていくので、資金力の差をまざまざと感じますね」
市場に出回っているウイスキーは買いあさられ、中国に送られる。バーやスナックでまれに入荷できても、
「仕入れ価格がどんどんつり上がり、以前と同じ価格での提供は難しい‥‥」(都内のウイスキーバー店主)
そう嘆くばかり。がめつい中国人のせいで、「ウイスキー難民」が続出する中、インターネットの通販サイトでも、その価格は庶民には手を出せないほど高騰中だ。希望小売価格8500円の「白州12年」は、6万円から9万円台の高値で販売されていた。だが原因は、販売休止によって希少性が出ただけではない。転売事情を知るライターはこう説明する。
「中国人が主に投資対象として探しているのは、『年数表示』のあるウイスキーと、今は作っていない『終売』モノです。『宮城峡15年』は1万円で買って、8万円で転売できる。『余市15年』も8000円前後で購入できて、5万円で転売。終売のウイスキーは、地方のデパートで販売されることがあります」
また、17年に酒類競技会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」でサントリー「響21年」が最高賞を獲得したことで、日本産ウイスキーはますます投資目的で狙われるようになったという。
「高額商品なら、秩父で作られている『イチローズモルト』で、トランプの絵柄をあしらった『カードシリーズ』です。1万円台で購入したら30万円以上に跳ね上がる。そればかりか、その中でモノクロの『ジョーカー』は100万円以上するので、中国人の転売屋は血眼で探していますよ」(転売事情を知るライター)
一方でこれから高騰が予想されるウイスキーも赤い“ツバ”をつけられていた。
「狙い目は、今は年数表示をやめている『ザ・マッカラン』。『12年』は5000円ぐらいで買えるのですが、品薄で、じきに上がると見られています。関係者の間では“正露丸”と呼ばれるほどクセのある『ラフロイグ』も固定ファンが多く、『18年』は転売価格がジワジワ上がっていて、買いあさる転売屋も増えているそうです」(転売事情を知るライター)
このままでは、かろうじて飲む機会のあるサントリーの代表格「山崎」も爆買いされて、日本で飲めなくなる日が来てしまうかもしれない。