残忍無比かつ夜の生活をこよなく愛したと言われた則天武后(武則天、624~705)。彼女の“パワー”を支えたのは、ある鳥だった。
則天武后は中国史上唯一の女帝。唐室の有力者を次々に殺して、周王朝(武周)を建国し、その始祖となった女傑である。そして、生涯に相手をした男性は1000人を下らなかったというほど、性的な欲求が強い女性としても有名だ。古代中国の性生活を研究した、元駐日オランダ大使、R・H・ファン・フーリックは彼女の性生活の様子を「古代中国の性生活」にこう記している。
〈皇帝の存命中、彼女はねだって寝台の周りに大きな鏡をすえてもらい、昼間から帝とそこでたわむれた〉
鏡張りのラブホテルのような部屋で日がな一日、武后は快楽を貪っていたというのだが、中国の「控鶴監秘記」にはこうある。
〈‥‥武后はすでに60歳を出ていた。そして不老回春の養生法を始めていた。(中略)いつも昌宗の魔羅を口に含んで寝る。雁首に吸い付いて、亀頭をなめまわす。根本をしごきながら、雁首の穴口を吸う。くりくりしてえらが張っているから、そのうちあごがだるくなってくる。それでも執拗に口から出そうとしなかった。(中略)武后は口に易之の陽具を含み、玉門に昌宗の逸物を入れさせた。上と下が相まって、ずっと気持ちが良い。養生の効果は高まり、肌の色艶がよくなった。どう見ても、40代にしか見えない〉
医食研究家のジャーナリスト・笹川伸雄氏が言う。
「彼女は歴代皇帝たちと同様、不老長寿に執着し、宮廷には多くの不老長寿・強精の薬売りたちが出入りしていました。数々の強壮・強精剤を愛用していたことが彼女の若さの秘密と見られています」
彼女の寵愛を受けた易之、昌宗の張兄弟も、もとは強精剤の薬売りだったという。しかも美男子で巨根の持ち主。彼女は彼らが調合開発した、その名も「武后酒」という媚酒を飲みながら、果てることのない淫靡な関係に浸っていたのだった。そして、その強壮食・酒の原料がウズラである。フードコンサルタントで栄養士の川田孝子氏が言う。
「ウズラは高たんぱくで多価不飽和脂肪酸、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、鉄が豊富なうえ、皮付き肉としては低脂肪です。さらに卵にいたってはビタミンA、B1、B2、鉄分が鶏卵の1.5~2.5倍も多く含まれています」
さらにセックスコンサルタントの秋好憲一理学博士は、ウズラをこう評する。
「ウズラはキジ科で、SEXの旺盛な鳥。成長も早い。おいしいから食べやすく、集中的にとり続けると強精効果が顕著になります」
武后はウズラ料理を食べてスタミナをつけ、SEXを楽しむ時は必ず「武后酒」を欠かさなかったという。
「武后酒の他の材料の何首鳥(かしゅう)、鹿茸(ろくじょう)、高麗人参のどれもが強精効果抜群です」(秋好氏)
生涯をエンジョイし、81年の天寿を全うした則天武后にあやかってみたい。
【則天武后が愛した「武后酒」】
◎材料(貯蔵瓶1本1.8リットル分):何首鳥(ツルドクダミ)の根50g、鹿茸(赤鹿の袋角)10g、高麗人参300g、35度以上の焼酎(ブランデーも可)1.8リットル、頭部と内臓を除去したウズラ1~2羽、ハチミツ(好みで)※材料は漢方薬局かインターネットなどの通販で手に入る。
◎作り方:(1)材料全てを丼に入れ焼酎を上面すれすれに浸るまで注ぐ。とろ火で50分ほど蒸してから、30分日光に当てる。(2)さらに焼酎を上面まで注いで30分蒸す。その後、再び20分天日にさらす。(3)その後焼酎を注ぎ、好みでハチミツを加え、密封して冷暗所に3カ月以上貯蔵。長く寝かすと効能も増すうえ、味もマイルドになる。※養命酒を美味にした味。通常はおちょこ1杯で十分。