ついに「その時」が訪れた。国会会期中に行われた、異例の死刑執行。前代未聞の大量殺人で日本中を震撼させた教祖の絶命に、いまだ蠢く熱狂的信者はいかなる動きを見せるのか。そこには常人の意識をはるかに逸脱した、衝撃の計画が浮上していた──。
週刊アサヒ芸能は今年に入り、オウム真理教の教祖、麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(63)の死刑執行が秒読み態勢に入っていると、たびたび報じてきた。そして2018年7月12日号では「執行直前」と題して、かつての側近である上祐史浩氏(55)=現・ひかりの輪代表=に独占インタビュー。「麻原処刑後の信者」について詳報したが、まさにそのタイミングで刑が執行されたのだった。
7月6日午前、東京拘置所の教祖のほかに、一斉に刑が執行された元オウム幹部は、早川紀代秀(68)=福岡拘置所=、井上嘉浩(48)、新実智光(54)=いずれも大阪拘置所=、中川智正(55)=広島拘置所=、遠藤誠一(58)、土谷正実(53)=いずれも東京拘置所=の、6人の各死刑囚。
麻原死刑囚らは「Xデー」を迎え、いかなる執行手続きを経て絞首刑台に立ったのか。元刑務官が生々しい現場を語る。
「執行の朝、まず3~4人の屈強な刑務官が、死刑囚を迎えに行きます。『出ろ』と言われた瞬間に刑の執行だと感じ取って暴れ出す者、ブルブルと震えながら絶叫して命乞いをする者、あるいは顔面蒼白で房の隅に座り込んで動かない者など、ほぼ全員が平常でなくなるため、刑務官が両脇を抱えて刑場まで引きずっていくことになる。病舎の独房に入っていた麻原の場合は、6人の刑務官が迎えに行ったそうです。房を出ると即、刑場へ向かうエレベーターに乗せられます」
一部で廃人状態だとの報道もあった麻原死刑囚は、独房内のトイレを使わず床や布団の上に大小便を垂れ流す、異様な状態。日々の食事の際も、出されたおかずや汁ものを御飯の上にまとめてぶっかけて食べるという奇行を繰り返した。全国紙社会部記者も言う。
「運動などの歩行も可能でした。かつては目がほとんど見えないにもかかわらず熱心にノートに何かを書き記していたようでしたが、07年に死刑が確定する前後から一日中、壁に向かってじっとしているような状態だったといいます。死刑確定後は支援者や家族の面会も拒否し続け、最後まで事件の核心について語ることはなかった」
そうした状況下、法務省は一連の奇行を詐病と認定。心神喪失状態ではないとしていた。先の元刑務官が、執行の様子についてさらに説明する。
「エレベーターを降り、教誨室と呼ばれる応接室に通されると、拘置所の所長が『これから死刑を執行する』と宣告。さらに『何か言い残すことはないか』と、簡単な遺書なら書かせてもらえます」
しかし麻原死刑囚は、特に遺言は残さなかったという。