「西野さんとは『今大会の結果がどうであれ、これが最後』と約束し、慰留することはしませんでした」
ロシアから帰国した7月5日、会見に応じた日本サッカー協会の田嶋幸三会長(60)は注目の監督人事に触れ、西野監督の退任を発表した。大会期間中から「続投」の声が高まり、2年契約で年俸2億円(推定)とも報じられていたが‥‥。サッカーライターの渡辺達也氏はこう語る。
「東京五輪代表を率いる森保一監督(49)がA代表と兼任する案も出ていました。しかし、今後の日本代表のスケジュールを見ると、兼任は厳しい。来年1月のAFCアジアカップまで西野さんが続け、森保監督にバトンタッチしてもよかった」
そこで次期監督候補に急浮上したのが、前ドイツ代表監督のユルゲン・クリンスマン氏(53)だ。
「クリンスマン氏を猛プッシュしているのは、田嶋会長です。ハリルホジッチ前監督(66)を推していたのも田嶋会長で、とにかく外国人好き。西野監督の続投記事が出るたびに、『まだ白紙』と否定していました」(スポーツ紙記者)
クリンスマン氏との間では「密約説」も噂されている。
「サッカー専門のウェブサイトで、4月に起きたハリル解任劇について、クリンスマン氏がなぜか独占インタビューに応じています。そのコメントの中でやたら西野監督の経歴に詳しく、アンダー世代の監督経験やJリーグのタイトルを取ったことまで知っていた。すでに田嶋会長周辺から次期監督を打診されていて、日本のサッカー事情や西野監督の経歴を教えてもらっていたとも言われています」(スポーツ紙記者)
ヨーロッパ出身監督は日本代表に混乱と分裂危機をもたらしたハリルで十分懲りているはずなのだが‥‥。さて、クリンスマン氏の監督としての実力はいかほどか。
「06年ドイツW杯では、ドイツ代表を3位に導きました。それでも戦術やトレーニングを決めていたのは現在のドイツ代表監督で、当時はヘッドコーチのレーブ氏(58)。ほとんど彼に任せっきりでクリンスマン氏の手腕は微妙。本当に名監督なら『無職』ではないはずですよ。ハリル時代の二の舞になっても不思議ではありません」(渡辺氏)
7月26日の理事会で新体制が決まる予定だが、早くもカタールW杯に向けた「2022年問題」が浮上している。「ビッグ3」の本田は代表引退を表明。FW岡崎慎司(32)は続行予定だが、年齢とケガで代表入りはビミョー。MF香川真司(29)は「今すぐ答えはわからない」と迷いを見せている。サッカージャーナリストの六川亨氏はこう話す。
「香川は試合を重ねるごとに調子を上げ、ベルギー戦では相手選手が怖がって飛び込めないほど存在感があった。この4年間、W杯に強い思いで挑んでいたので、燃え尽き症候群になっているのではないでしょうか」
ビッグ3全員が抜けたあと、ロシアW杯で活躍したMF柴崎岳(26)を中心にチーム作りが進むと見られているが、戦々恐々としているのはメディア側だ。
「本田は調子がどんなに悪くても取材に応じ、見出しに使える発言をしてくれました。それとは反対に、柴崎はデビュー時から記者と距離を置き、コメントを取るのも一苦労。他にも今回代表に選ばれ、次回大会で期待される大迫やDF植田直通(23)、MF大島僚太(25)は練習中も静かなんです。ムードメーカー不在の『無口ジャパン』誕生で、どうやって取材するのか。現場は頭を抱えています」(スポーツ紙記者)
カタール大会の熱狂が尻すぼみで終わらなければいいのだが。