熱戦が続く女子ゴルフツアーに、今季から導入された「リランキング制度」。前半戦を終え第1回目の発表を受けて、シード権組のトップ50以外の順列がシャッフルされた。大きなジャンプアップや急降下など、まさに“下剋上”。暑い夏を境に、シード権を巡る争いが激しさを増している。
リランキング制度によって、レギュラーツアーの見どころが増えた。ゴルフジャーナリストの宮崎紘一氏が解説する。
「簡単に言えば、ツアー戦の優先出場権の見直しです。昨季の予選会(最終QT)で失敗し、少ない試合数(年間の推薦枠出場が8試合)の中で来季のシード権を目指す選手にとっては、一発逆転を狙える制度で、見ている側にも緊張感が伝わり、醍醐味あふれる戦いが続いています」
恩恵の1番手は“黄金世代”の代表格、新垣比菜(19)だった。第1回リランキングが6月24日の「アース・モンダミンカップ」(今季17戦目)の最終日終了後に発表され、QTランク45位からリランキング2位にまでジャンプアップ。後半戦はフル出場できる。
「まず、史上最年少の小6でツアーデビューを飾り、『宮里藍2世』とも呼ばれた新垣がQTで45位に甘んじたこと自体が、まさかの出来事でした。そもそも女子ツアーの試合は100人ほどで戦う。その内訳はシード権組の50人、そこに主催者推薦が10人ほどで、残りがQTランキングの上位者でした。つまりQTで40位ぐらいの順位にいないと、年間の試合数が激減してしまい、翌年のシード権獲得には、一気に優勝するしかないほどの狭き門となる。そのため、最終予選会は『もう二度と出たくない』というほどの緊張感の中で行われ、新垣のように失敗してしまうケースも生まれる」(スポーツ紙記者)
新垣自身、「シーズン前はリランキングのことばかりを気にしていた」と話していたほどだ。
他にも、QT50位からリランキング13位に上がった原江里菜(30)が、「たくさん推薦をいただけてありがたかった。いつ出場できるかわからない状況でスケジュールを組むのが難しかった」と振り返れば、諸見里しのぶ(32)は、「シーズン前からしっかりと準備ができて、(シーズン中も)いい集中力で戦えた」と、ベテランらしくルール変更を上手に生かしてランクアップに成功した。
まさに華麗なリカバリーの激戦が、ツアー前半戦を盛り上げたのだ。とはいえ、このリランキングによる優先出場権の見直しは、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」(9月21日~23日)の終了時点で、第2回目が行われる。
「逆に前半戦でランクダウンした面々が巻き返しに躍起となるし、彼女たちの目標はあくまでもシード権の獲得だけに、後半戦はまさに美女による追い落とし合戦が展開されそうです」(スポーツ紙デスク)
トップ50のボーダーラインの年間賞金額は年々アップし続け、昨季は2239万円だった。
「原(江)や諸見里ばかりか、昨季、シード落ちの屈辱を味わい、復権を目標に掲げるスレンダー美女の松森彩夏(24)も、リランキング30位だけに、うかうかしていられない。同じテーラーメイド軍団の永峰咲希(23)が4月にツアー初優勝を飾り、妹の松森杏佳(22)はすでに900万円以上も稼いでいることもあり、なおさら燃えるでしょう」(スポーツ紙デスク)