キム・ヨナが今夏、猛練習を再開したという。
「夏から本気になって、ロスのリンクでも彼女の練習時間は観客席から一般児童の母親たちをシャットアウトし、厳しいトレーニングでボディをしぼりました。この先、キム・ヨナの成績しだいで、韓国のソチ五輪出場選手枠が2〜3人で変わってくるという事情もある。そのため、国が復帰するよう全面バックアップしたんです。コーチにも小学生時代に才能を開花させてくれたシン・ヘスクコーチ(55)を招き、原点回帰で本気モードとなっている」(前出・フィギュア関係者)
12月9日、キム・ヨナは20カ月ぶりの復帰舞台、ドイツ・ドルトムントで開催されたNRW杯で、201・61点で貫録の優勝。ブランクも何のその、前日に浅田が出した今季世界最高をあっさり抜いての復活劇となったのである。
紆余曲折を経て進化、復帰を果たしたライバル2人の運命が、いよいよソチ五輪に向けて交錯し始めた。
フィギュア解説者の佐野稔氏が語る。
「バンクーバーで点数に差がついたのは、ジャンプの質に差があったから。キム・ヨナがトリプルルッツ︲トリプルトウループ(以下3Lz-3T)のコンビネーションで確実に加点を稼ぐ一方で、真央ちゃんが3Aをやってもさほど加点を稼げなかった」
浅田はこの3年で進化を遂げ、3Aなしでも200点近く取れるまでに成長した。とはいえ、素人目に見ても、仮に現在の技構成で2人が完璧に演じ合えば、浅田の持ち味である3Aよりも基礎点の高い3Lz-3Tを得意とするキム・ヨナに軍配が上がってしまうだろう。かつて全日本選手権で8連覇を達成した元女子フィギュア選手・渡部絵美氏も言う。
「真央ちゃんがキム・ヨナの3Lz-3Tに対抗するには少なくとも3Aを跳ぶしかない。そのうえで、観客の後押しといった試合の妙がどう味方するか。前回はカナダを拠点にしていたキム・ヨナが有利に思えましたが、今回はロシア開催で、振り付けがタラソワである分、真央ちゃん有利と思いたい」
佐野氏は、ソチ五輪を210〜220点での争いと予想する。
「GPファイナルで196・80点だった真央ちゃんは、例えばこの時の演技に3Aを3つ、3Lz-3Tを2つ取り入れて、計25点の上積みが求められるでしょう。とはいえ、まだ試合では見せていない3Lz-3Tもだいぶよくなっていると聞いています。まず12月21日からの全日本選手権で何を見せてくれるか。期待したいです」
浅田の逆襲と、実力を取り戻したキム・ヨナの激突が待ち遠しい。