タレントのフィフィが8月22日、自身のツイッターアカウントを更新し、今夏を盛り上げた全国高校野球選手権をめぐる報道姿勢について疑問を呈している。
第100回という大きな節目の今大会は史上初の2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭の盤石の強さが目立ったが、やはり世間の関心は大躍進を遂げた秋田県代表の金足農業ならびに同校のエース・吉田輝星選手の奮闘に集中。周知のように各マスメディアも自然と金足農業に比重を置いた報道内容を展開させてきた。
この状況を受け、〈プロスポーツならまだしも、数字が取れれば優勝校もそっちのけ〉と切り出し、本来最も視線を集めるべき大阪桐蔭の現状を憂うと、続けて〈感動ストーリーばかり追っかける報道に、なんだかなぁ、高校野球が利用されているようであまりいい気はしないなぁ〉とツイート。“奇跡の戦いぶり”でファイナルまで上り詰めた金足農業に歓声が集まる一方、優勝した大阪桐蔭はそっちのけ、といった視聴率ありきの状況に不平を述べた。
「確かにフィフィの言うように、優勝した大阪桐蔭よりも、準優勝の金足農業の方に比重をおいた報道になっており、人気の金足と実力の大阪桐蔭という構図になっています。リプライ欄にも『可哀想だな大阪桐蔭…』『もっと両校をリスペクトした報道が見たいです』『大阪桐蔭が必死で優勝したのに、報道は偏りすぎててすごく悔しいです』との反応が集まり、世間も大阪桐蔭の扱われ方に違和感を覚える声も噴出しています」(テレビ誌ライター)
しかし、こうした現象は今さら嘆くようなものではなく、ある意味で“伝統的”と言うべきかも知れない。
「ジャンルこそ異なりますが、2010年のM-1グランプリ後、優勝した笑い飯よりも“金足ばり”のミラクル快進撃を見せたのはスリムクラブでしたし、おぎやはぎも8月23日深夜、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『おぎやはぎのメガネびいき』で『にゃんこスター現象でしょ』と金足フィーバーを分析しています。さらに『大阪桐蔭はかわそうじゃない。優勝してるんだから』『それで記事にならないほうがかっこいい』と大阪桐蔭に対し、最大級の賛辞も忘れませんでした。フィフィは、国際的な見地における“報道”の意義とともに中立、公平を訴えたのかも知れませんが、日本における“報道”とは良くも悪くもバラエティ、ワイドショー的なもの。今回に関しては、危なげなく勝利した大阪桐蔭よりも、地元出身のナインが奇跡的な勝利を重ねた金足農業の“感動ストーリー”を見たい人の方が多いと各メディアが確信しているということでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
逆に言えば、報道が「金足農業」に偏るからこそ、SNSなどで改めて「大阪桐蔭の強さ」を称える、もしくは、称えないのはなぜか、といった意見が飛び出してバランスがとれてきているのが、現代のネット社会の実情なのかもしれない。
(木村慎吾)