8月26日、安倍晋三総理は鹿児島県で自民党総裁選出馬を表明した。3選を可能にするルール変更をしたからには、負けるわけにはいかない。出馬表明までに自民党各派閥の支持を取りつけ、一騎打ちとなる石破茂元幹事長に対して、圧倒的な優勢を保っている。
そんな中、安倍氏か石破氏かで割れた派閥がある。竹下派(会長=竹下亘総務会長)である。表向きは自由投票としているが、衆院竹下派が「安倍支持」。参院竹下派が「石破支持」で実質的に分裂していると報じられているが…。
「衆院竹下派には安倍政権の現役閣僚もいて、総裁選で石破氏を支持してしまっては、その後に冷や飯を食わされてしまう。参議院議員である竹下総務会長は選挙区の事情で、石破氏に恩を売っておいたほうが、その後に何かと有利なため、参院竹下派は石破支持となったという分析もありますが、参院竹下派の中にも安倍支持はいます。その逆で衆院竹下派の中に石破支持もいないわけではない。何より、竹下派分裂を招いたのは青木幹雄氏だともっぱらです」(政治部デスク)
かつて、参院自民党のドンとして君臨した青木氏。現在も参院竹下派に多大な影響力を持っていると言われる。その青木氏が「石破を支持せよ」と言ったというのだ。
その理由を巡っては永田町で諸説、語られているのだが、ある永田町関係者はこう話す。
「青木氏は竹下派の小渕優子衆院議員の復権を望んでいたんです。小渕氏といえば、経産相などを歴任してきたのに、2014年の政治資金問題で失脚。その後はすっかり表舞台から遠のいていた。その小渕氏を『大臣や党三役に戻せないか』と、青木氏は非公式に安倍総理に打診したのですが、無下に断わられた。で、青木氏は石破氏を支持せよと傾いたらしい。ゆくゆくは派閥を背負って立つ小渕氏を、青木氏としては、何としても復権させたかったんでしょう」
すでに、消化試合と言われるほど、安倍有利とされる総裁選。数少ない見どころの一つに、小渕氏がどちらに一票を投じるか、というポイントがあるのだ。